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「激論!“援助交際”とニッポン!」
 日本の将来を脅かす活断層
援助交際を語ると現代日本が見えてくる  蜷川真夫

今回のテーマは、東京都青少年健全育成条例の改正問題がきっかけとなっています。18歳未満の少年少女との「みだらな性行為」を禁じた淫行(いんこう)処罰規定を設けることの是非です。都の青少年問題協議会は約10年前には規定の導入を見送る答申を出しました。しかし、「援助交際」と称した売春の低年齢化がその後進み、これを看過すべきでないと、姿勢を転換したのです。
「売春」は社会の病理として語られてきた歴史があります。「貧困問題」の側面を重視して、社会福祉が進んだり、「搾取のなくなる」社会主義になれば根絶するといった学者も少なくありませんでした。豊かになった日本社会の現状は、「性」の低年齢化であり、「性」の商品化の拡大です。

「援助交際」とは、女子中高生などが、大人の男性と交際して金品をもらうことを指しています。「売春」という言葉を嫌って、彼女らが使い始めたとされます。しかし、「援助交際」は「売春」と全くの同義語ではありません。時代の雰囲気や社会のしくみ、文化の様相、経済感覚などを含んだ概念です。
約40年前にできた売春防止法は、当時の「売春」の形態を対象につくられました。集団売春、企業売春の禁止を目的とし、「売春が個人化、単純化してゆく経過措置」といわれたものです。とりあえず、売春のピンハネをなくそうということだったのです。
このテーマは、風俗最前線的な視点で取り上げられ勝ちです。そういう人間の好奇心を否定しまっては、世の中の味はなくなります。しかし、「援助交際」という言葉が持つ時代性、文化的側面を考えると、その最前線の奥にさまざまな社会的要因が横たわっているような気がします。

「援助交際」を論じることは、「性」を語ることでもあり、経済を語ることにもつながるのです。なんとも「壮大なテーマ」になってしまいますが、そこを広がりすぎないように議論を運ぶことができるかどうか。やってみましょう。



今回のパネリスト
顔ぶれと横顔紹介



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