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  Reported by 松尾由美子 


「侍には、命をかけて守らねばならない一分いちぶんがある。」

6月1日、ついに、映画『武士の一分いちぶん』がDVDとなって発売されます。

    
豪華版                          通常版


ご存知のとおり、『武士の一分いちぶん』は、、
山田洋次氏監督作品、木村拓哉主演の、幕末に生きた武士の名誉や夫婦の愛を描いた物語。
あの素朴で温かな情景を含む映画の本編はもちろん、
今回のDVDには、貴重なメイキングの映像も含まれているんです!

映画ができる過程には、様々な人の思いが交錯していました。
フィルムの回っていないところでカメラがとらえた、
山田洋次監督や木村拓哉さん、檀れいさんらのやり取り、本音が垣間見えます。
見ていると、
登場人物の傍らに座って、撮影の様子を見ているような気持ちになるはず。
さらに!
映画の最後を飾る、木村さんの見事な殺陣が完成するまでの経緯、
道場に通いながら変化していく木村さんの心情、
盲目の武士を演じるために、木村さんがとった驚きの行動、
今まで明かされなかった撮影の裏側も、生々しく伝えられています。
加えて、時間の都合でどうしても映画に入れることができなかった未公開のシーンも登場。

そんな大事なメイキングのナレーションを、なんと、
私、松尾が担当いたしました。
担当を告げられた瞬間、「え、あ、わー!こりゃ大変だ!」と徐々に気づいた松尾。
一部で「昭和の女」と呼ばれるような存在だから担当することになったのでしょうか・・・
とにかく、自問しながら迎えた収録当日。



それは、自分との闘いでした。
座禅を組む時や、お茶を点てる時の気持ちに似ていたかもしれません。
イメージするのは、
虫の声や、かけいのしずくの音まで聞こえてきそうな静かな夜。
凛として背筋を伸ばしながらも、表情には温もりがあるような、
アルカイックスマイルの仏像のイメージです。
一歩ひいて、主人公のお二人の傍らに控え、見守っている、
そんな気持ちで臨もうとしたのですが、
「もっと柔らかくできませんか。夜、一人で家にいるイメージで!」
ディレクターに注意されながら、何度も撮り直しをしました。
ついつい顔を出そうとするエゴや力を自分の中に押し込めて、
何か働きかけようとするんじゃなく、ただひたすら、見守る姿勢を貫く。
明瞭に伝えることがメインの「ニュース」とは違って、
一人の登場人物を「演じる」という作業に近かったのかもしれません。
映画から滲み出てくる主演の二人の幸福感を壊さないように、
大事に、そっと、撮っていったつもりです。
6時間かけて、全身全霊を込めたおよそ133分の力作。
私のナレーションが、
皆さんがメイキングを見る時に邪魔にならないような、
でも、ここぞという時に手を差し伸べられる存在だったらいいな、と思います。


DVD、ぜひお買い求めになってみてください。
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