子供達 には必ずヒーローやヒロインがいます。それが架空の存在でも実在していても関係ありません。子供達には絶対的です。私のうちの子供達は実在する人物がヒーローになっています。その人とはボストンレッドソックス・松坂大輔投手です。

西武時代の松坂から長男は大好きで、ピッチングフォームを真似したり、松坂の背番号18を見て、「18」を特別カッコいい数字だと思っています。また松坂が横浜高校時代に成し遂げた第80回の夏の甲子園、あの記念大会を締め括った決勝戦のノーヒットノーランのビデオを私と一緒に何度も見てきました。ですから長男は横浜高校に自分が将来行くものと今から決めています。4才下の次男坊はそんな長男に影響されて「松坂、松坂」と言っています。自分が左投げ左打ちなのを松坂とは違うから嫌だと言います。「野球は左投げ左打ちは有利なんだよ。」といい聞かせてもやっぱりダメです。松坂とは逆だからです。また長男は“なんで自分の名前を大輔にしなかったんだ”と言ってきた事がありました。
中山大輔が良かったと。気持ちは分かります。

次男坊にいたっては「なんで僕は松坂って名前じゃないんだ、中山松坂が良かった」と訳の分からない事を言ってきます。自分の名前は書けないのに松坂とだけは漢字で書くことが出来ます。

12月のある日、お正月番組の収録が東京ドームでありました。ドームのグラウンドに本物の野球盤を作り、プロ野球選手が挑戦するバラエティー番組です。リアル野球盤対決です。今年はワールドチャンピオンになって凱旋した松坂大輔投手が2年振りに出演してくれました。
このチャンスを逃してはいけない！父親としての腕の見せどころです。長男と次男を収録先の東京ドームに連れて行きました。二人は初めて踏みしめたドームの人工芝の柔らかさに驚き、外野の広さとぐるりと見渡した時のスタンドの大きさにまたまたビックリしながらも、収録前のドームの緑のグラウンドを走り回っていました。二人は目一杯ドームを遊び場にしていました。

さあ！いよいよ　松坂が姿を見せる時が近付いてきました。
一塁側ベンチのジャイアンツ原監督が試合中に座っている場所に腰掛けて二人はヒーローの登場を待ちます。

ついに松坂大輔投手がドームのグラウンドに出てきました。
日本が誇るエースはメジャー1年目でワールドシリーズ王者に輝きました。メジャーリーガーのパワーに負けない様に西武時代よりも一回り体が逞しくなっていました。松坂大輔投手は更に進化していました。ここまでは仕事をする私の感想です。
ここから先は子供達にお父さんスゴいと思われたい父親の感情です。
「我が子達はヒーローに初めて会った時に一体どんな顔をするのか」気になりました。
松坂が今、目の前に表れました。ピッチングフォームを真似して18番を特別な数字だと感じ、さらには名前まで同じになりたいとまで言ったヒーローです。
長男は間違いなくまばたきをしていなかったと思います。上半身を乗り出してジィッと松坂の一挙手一投足を見逃さないようにしていました。次男坊は！次男は遊び疲れてベンチにもたれて寝ていました。原監督が試合で指揮を執ってきた場所で居眠りをした人間は次男坊が初めてではないでしょうか。
次男を起こし、ホームベース近くにいる松坂の元に向かいます。「挨拶をちゃんとするんだよ」ここに来るまでに何度も二人には言って聞かせてきました。今、二人の目の前にヒーローがいます。私が松坂に感じる以上に二人にはその大きさを感じたと思います。それでも二人は松坂にちゃんと「こんにちは」と挨拶が出来ました。私は子供達がしっかりと出来るか心配で心配で背中を汗が滴りましたが、杞憂に終わりました。松坂大輔投手も子供達の高さまで屈んでくれて子供達の目を見て挨拶を返してくれました。ヒーローはやさしいのです。ボストンレッドソックスの帽子にそれぞれサインを書いてもらい、握手をしてもらって、写真を一緒にとって貰いました。 二人にとってこの日のクライマックスです。　

収録が終わり、帰りの電車の中で二人に聞きました。
「松坂に会って、どうだった？」長男は「手が暖かくて分厚かった」と答えました。
次男は「カッコよかった！」「どんなところが？」と聞き返すと「おしりが」と返してきました。

サインを書いてもらった真っ赤なレッドソックスの帽子を次男は公園で遊ぶ時や外に出かける時にはいつもかぶって行きます。長男はというと「汚してサインが消えていったら嫌だから、外ではかぶらない」と言って、ベッドの枕元に飾り寝る前にいつも手にとって眺めています。

二人にとってヒーローは少し近い存在になったんでしょうか？　それともさらに遠くにいる存在になったんでしょうか？　私には分かりませんが、子供達が松坂大輔投手をもっと好きになった事は分かりました。松坂大輔投手ありがとうございました！　2008年のシーズンも更なる活躍を楽しみにしております。

※残念ながら、松坂大輔投手と中山アナ、長男＆次男の4ショットの素敵な画像は、著作権の都合上公開できませんが、中山家の宝物でしょう！