2/26 コラム/徳永有美
 
 私の中で何かが動き始めたソルトレーク五輪

2002年、ソルトレーク五輪が終わります。
日本では、メダルの数とか審判員の判定疑惑とかそういうことが話題の中心になっているかもしれません。が、やっぱり、私にとって五輪ってそんな出来事を超える素晴らしい場所でした。それは、ソルトレークにいる私だから言い切れることなのかもしれません。4年に1度の五輪という場所に立つ選手の姿には寸分の隙間もなく、すべてのことを受け入れ立ち向かい、コースを真っ直ぐ見つめ目を閉じる瞬間。私の体の中の軸がきゅぅっと引き締まっていきます。

スピードスケートの清水宏保選手はこう言いました。
 
「五輪っていう舞台で勝つのは本当に強い人間だってことなんですよ。
精神的にも肉体的にも。
僕はやっぱり100分の3秒足りないんですよ。何かが。
それはこれから4年間で見つけていかなきゃいけない。
それだけの価値がある。その数字には価値がある。」
 
ひとりひとりの選手に様々な思いがある。覚悟がある。
その思いは、厳しい努力と練習を重ねている人たちだからこそ感じられるもので。だからこそ人々は一瞬にかける選手たちの姿に心を動かされる。

私の心の中でなにかが動き始めたソルトレーク五輪。

<この原稿はデイリースポーツにも掲載されています。>