このページについてのご感想  
トップ > 3羽のひよこ 2005
 
 
reported by 堂真理子

7月5日、三ヶ月に及ぶアナウンス研修がついに終了しました!
この日、ひよこ達は朝から「卒業制作」に向けて、取り組んでいました。「卒業制作」とは、ニュース・フリートークを6分の番組の中に収めて、それが会社内に放送されるというものです。毎年新人は、この卒業制作を経て研修を終えるのです。6分が来れば、例え話している途中でも番組は終了してしまいます。逆に6分が来る前に話し終えたとしても、番組は続きます。

去年のちょうど同じ時期、私達二年目の三人も卒業制作を経験しました。朝からずっと緊張して、本番前は心臓がバクバクいっていました・・・。一年前の「三羽のひよこ」を見ていて思い出したのですが、私は本番前、緊張のあまり握っていたボールペンのキャップを割ってしまったのです・・・(笑)自分のニュースやフリートークが初めて社内全体に放送されるというのは、それ程緊張するものです・・・!!

この日、私もひよこ達の様子を見に行ってきました。スタジオに着くと、三人はすでに準備も終えて本番を控えていました。緊張している様子でしたが、三人ともとても落ち着いていました。
トップバッターは、中村くんでした。

 

【中村昭治】
7月5日。卒業制作の日がついにやってきました。
朝、普段は七時過ぎに起きるところを、目覚し時計があるわけでもないのに起きたのは6時前でした。
卒業制作は研修の集大成。だからよく寝て万全の状態で臨もうとしたのに、緊張のせいで思うように眠れません。

本来なら、二ヶ月の研修の疲れで、体を起こすのに時間がかかるところです。
結局いつもより30分ほど早く出社(9時に会社到着)。
卒業制作は3時ごろからだったので、午前中は準備をかねてみっちり発声練習をやりました。

昼食を終えると、いよいよ卒業制作の段取りが告げられます。
本番は、ニュースを読んだあと、事前に撮ったリポートを挟んでフリートークという流れ。全部で6分。
わたしは三人の中のトップバッター!
卒業制作の様子は、館内放送で局内に生放送されます。

午後三時五分、ついに私にキューが出されました。
たちまち緊張感と、それに打ち勝とうという気合が、二つ同時に沸いてきます。
あいさつをした後、まずはニュース。一般ニュースが二項目、スポーツニュースが一項目です。原稿があることも手伝って、聞きづらい下手な読みではありましたが、大きな失敗はなく、こなしていきます。

ニュースが終わり、先日撮影したリポートが流れます。
ここで一息。カメラの後ろ側に立っていた同期の二人や先輩方と目をあわせ、無理にでも笑顔を作り、少しでもリラックスしようとします。

リポートのVTRがあけて、残りは1分5秒。フリートークの時間です。
事前に与えられていたお題は「どんなアナウンサーになりたいか」。
これが失敗。
事前に考えていたことをやめて、自分の今の思いを言葉にしようとしました。
初めてスタジオで生放送を体験する私には、その時とても新鮮な思いがしていました。
それは自分が想像していた以上のものでした。
「この新鮮な思いをいつまでも忘れないフレッシュなアナウンサーでありたい」
とっさに、それが言いたくなりました。
しかし、生放送の怖さを甘く見ていました。
それをうまく表現できず、言葉に詰まるうちに時間がきてしまいました。
終わって、心に残ったのは悔しさばかり。
「フリートークに内容がない」と先輩方に指摘され、ガックリと肩を落とす私。
終わって、自分のアナウンスに対しては、もっとうまくなりたいと思うばかりです。

そのヒントとして、二ヶ月余りの研修で教わったことがあります。
まず、ていねいに伝えようという気持ちを持つこと。
次に、自分の話を聞いてくれる人の気持ちを考えること。
そして、表現の幅を広げること。
さらに、いろいろなものに反応できる感性を磨くこと。
これらは、研修中、教えてくださる先輩方がほとんど口をそろえておっしゃっていたことです。
(アナウンサーとして大事なだけでなく、人として大事なことかもしれません)

いずれも今の自分はカメラの前に立つと緊張してたちまち忘れてしまいます。
研修の間は、教わったことを身につけようとしてもうまく身につかないことが多くありました。
できないまま終わったものを、今後できるようにしたいです。

当面は、スポーツに関する仕事をすることが多くなりそうです。
入社前からやりたいと思っていたことなので楽しみです。
自分がしゃべることでスポーツの面白さの中に視聴者の皆さんをいっそう引き込み、一緒に楽しみたいです。

いよいよアナウンサー!!
すでに7月6日に報道ステーションのスポーツニュースで、試合速報のVTRのナレーションでデビューをしました。これからもこの仕事についていく予定です。
どうぞ見てください。

 
一生懸命話しています!
 
画面を通すとこのように映っています。

無事に卒業制作を終えた中村くん。安堵の表情です!
中村くんの原稿の中にもありましたが、中村くんは、先日報道ステーションのプロ野球速報のVTRナレーションで、堂々のデビューを果たしたんですよ!

次は、久保田さんの卒業制作です。
 

 

【久保田直子】
4卒業制作の事を思い出すと、今でも胸がドキドキしてきます。
ドキドキ?いやいや、ドッキンドッキンです!

卒業制作の内容はニュース・リポート・フリートーク(どんなアナウンサーになりたいかについて話します。)持ち時間は6分です。本物のニューススタジオで収録し・・・なんと、その映像はテレビ朝日社内中で放送されるんです!

順番は、中村→久保田→矢島です。中村君がニュースを読んでいるのを、前から先輩と見ていました。見ながら、自分でも気が付かない内に涙がでてきました。中村君が一生懸命にカメラに語りかける姿を見て、その真っ直ぐさに心打たれました。そして、それまでの45日間を思い出して感極まってしまいました。

そして、自分の番です。カメラに対してとても臆病な私は、心の動揺がそのまま画面に出てしまいます。だから、出来や映りを気にして上手にこなすのではなく、今自分が持っている全ての力を出し切ろう!と思い本番に臨みました。

6分はアッという間に過ぎました。
どんなアナウンサーになりたいか、言葉を詰まらせながら話す自分、そして横で少し心配そうな表情で補助をして下さっていた川瀬アナウンサー、目の前で見守っていて下さった諸先輩と同期の顔・・・その時の事を思い出そうとすると、この三つがでてきます。とても緊張したのですが、一番強く残っているのは「あったかいな〜〜」という気持ちでした。その時のニューススタジオは全く怖くなく、先輩方の優しさで一杯でした。

終わる直前で、また目に涙が!グッとこらえるため、その時の顔はカメラを睨み付けていました・・。終わって先輩方からは「あと30秒あったら泣いてたねぇ〜」と言われてしまいました。う〜〜む、確かに・・・・

その後は、そのVTRを見ながら講評を頂きました。トークとリポートに関しては特に厳しいお言葉を頂きました。結局一番何が言いたかったのか?語彙がまだまだ足りなく、表現が非常に稚拙である。・・など、様々なアドバイスを頂きました!本当にその通りでした!褒めて頂いた点もありますが、これからの課題がハッキリと見つかった講評でした。そして、「いろいろあったけど、あなたたち3人で間違いなかったわ」と言ってもらえた時、心の底から嬉しさがこみ上げてきました。
自分では「本当にまだまだだな〜・・・」と感じましたが、でも自分の力は思いっ切り出せたと思います。

この卒業制作を終えて思いました。ここからがスタートです!!研修が終わってやっと、アナウンサーとしてのスタートラインに立つ事が出来ました。
何が言いたいのか伝えられないフリートーク、必ず読み間違いをしてしまうニュース、普段からの姿勢の悪さ・・・課題を挙げればきりがないのですが、何だか妙に気持ちはスッキリしているんです!きっと、課題が明確になったからです。けれど、これからは研修期間という区切りがなくなり何十年という長いアナウンサー人生が始まります。その中で、自分に甘える事なく課題を克服して前に前に進むためには、目標をちゃんと持っていないといけないな〜と思います。
そうです!「どんなアナウンサーになりたいか?」
だから今回のテーマになったのかもな・・と思いました。

私はまだしっかりとは説明できないのですが、「人の気持ちを考えられるアナウンサー」になりたいと思います。研修期間中、アナウンサーの先輩だけではなく、いろいろな方にお会いしました。そこで感じたのは、「自分はもちろん大事だけど、人の気持ちを考える事を忘れない人は本当に素敵だ!」という事でした。
アナウンス部での45日の研修だけでなく、その前の人事研修を含めたこの3ヶ月間、本当に色々な方のお陰で私はやっとスタートラインに立つ事ができました。自分が今こうやって働けているのは、周りでいろんな人が支えてくれたり、
注意してくれたり、見守っていてくれているからなんだと気が付きました。
先輩方や家族はもちろんです!そして、同期の二人の存在は私にとって本当に大きいものになりました。一緒の時を過ごし、横で笑っていてくれた二人がいてくれて私はここまでこられた気がします。

これからどんな事が起こるかわかりませんが、いつもガハハ!!と笑って、思いっ切り走っていきます!
毎回、原稿を載せて頂いた堂さん・上宮さん・佐々木さんに感謝!です。そして、毎回これを読んで下さっていた方々に「どうもありがとうございました!!」とお伝えしたいです。

 
中村くん、久保田さんとバトンタッチ!
 
川瀬さんに見守られながら、マイクを付けます。
 
画面を通すと、このように!
 
キリっとした表情が素敵です!

久保田さんは、今後「甲子園への道」に出演します。初めてのロケも経験するんですね〜!
最後は、矢島さん。トップバッターも緊張しますが、最後も緊張するんですよね。
中村くんも久保田さんも応援しています!

矢島さん、緊張している様子・・・。

 

 

【矢島悠子】
7朝、会社までの道程を遠回りした。

けやき坂の道沿いに咲いていた、名も知らぬ花が見たかったからだ。
けれど、花は既に植え替えられた後だった。
残念だ。

今日はどうしてもあの名も知らぬ花が見たかったのだ。
それはその花の色が美しいからではない。
その花の葉の上に、まあるくのった朝露があまりにもみずみずしいからだ。それは里芋の葉を小さくしたような形で、わたしがカエルだったらきっと傘にしただろうと思うようなものだ。

ある朝わたしがため息をつきながら歩いていると、梅雨空にその輝きを見せ付けるように、朝露はキラキラ光っていた。その水晶のような粒の大きさにわたしは思わず立ち止まった。どうしても触れてみたくなった。

手に吸い付くようにして、葉から離れた朝露はひんやりと冷たかった。予想よりも冷たかった。
朝露の透明感やみずみずしさ。
触れた途端に、心がすっと洗われるような気持ちになった。

その日の研修は飾ることなく、素直な気持ちを表現できたのをよく覚えている。だから今日も、あの朝露に触れたかった。今日までの三ヶ月の成果を出す前に、悶々とした思いをすっかり浄化したかったのだ。

**************************

本番まであと5分。
緊張を鎮めようと頭の中に、今朝見られなかった朝露のきらめきを思い出していた。

フリートークでは「どんなアナウンサーになりたいか」ということを話した。わたしはその時ぼんやりとまた朝露のことを考えていた。
イメージトレーニングのおかげなのだろうか、萎縮してしまうことが多かったこのところの研修とは違ってのびのび発表できた。ワクワク・ドキドキを感じながら、誰かにむけて伝えようという思いがあった。自分の感覚に素直になることが出来た。
だから、この上なく楽しかった。
緊張状態を楽しむわたしがそこにはいた。(出来は別としてだが・・・)

**************************

研修後の講評では、3人三様にたくさんの課題を与えてもらった。そしてその半分くらいの量で褒めてもらった。嬉しいやら悔しいやらで、気持ちがいっぱいになってしまった。前を見ることが難しくなるくらい、目に涙がたまった。
隣を見ると、久保田も中村も同じような表情で、涙をこらえていた。
そしてその涙がこぼれ落ちて3人とも泣いた。

涙は朝露のように大きな粒で、わたしの白いジャケットの上を滑っていった。

落ち着いて考えてみると、わたしは朝露のような透明なみずみずしさを持っているアナウンサーになりたいのかもしれないと思う。
初心忘れるべからず、とよく言うけれど、これからそんなことばが必要な時が来たら、わたしはあの朝露を思い浮かべたい。


三羽のひよこを見て応援してくださった皆さん、どうもありがとうございました。

 
二人とも応援しています。
 
フリートークにも熱が入ります!
 
画面を通すと、このように映っています。

矢島さんは、今後「はい!テレビ朝日です」にレギュラー出演します。私がこの原稿を書いている7月7日は、矢島さんにとって初めての収録の日だったんです!この日の朝、少し緊張していた様子でしたが、とても嬉しそうに収録に向かっていましたよ!

三人とも、本当に堂々と卒業制作を終えました!
スタジオの脇でその姿を見ていて、私も去年の自分を思い出して自分のことのようにドキドキしていました。そして三人が書いた最後の「三羽のひよこ」の原稿を読んで、胸が熱くなってきました・・・。三人とも本当にお疲れさま!

研修が終わったということは、これからアナウンサーとしての第一歩を踏み出すスタートラインに立ったということです!これからたくさんのことを経験し、吸収し、感じるでしょう。そんな三人を今後もどうぞよろしくお願い致します!

写真は、松井康真アナウンサーが撮って下さいました。
 

<このコーナーは4月で二年目になる佐々木亮太、堂真理子、上宮菜々子が担当しています。>
 
 
    
このページについてのご感想  
トップ > 3羽のひよこ 2005