取材・文:中村裕一
編集:辻義就
ゲスト:国吉伸洋 中山貴雄 萩野志保子

今回のインタビューは前編・後編のお得な2本仕立てです。

インタビューのゲストは国吉伸洋アナと中山貴雄アナ、実況研修を終えたばかりの萩野志保子アナを迎え、「プロ野球討論」マンスリーインタビューを行いました。

<国吉&中山アナが語る、プロ野球実況中継の舞台裏>

萩野

大きな試合に限らず“第一声”にはやはりこだわりますか?

国吉

僕は一週間くらい前から考えます(笑)。あと試合前の“キャッチ”(実況が始まる前の1分間くらいの部分)は必死で直前に作文してますよ。そのコメントは生で放送されている映像とリンクしないと不自然だし、だから半分はアドリブみたいなところもあって難しいんです。

中山

野球中継において第一声とホームランシーン、そして最後の締めくくりは見せ場ですから。そこだけは自分で確かなものを持っていないと。

国吉

こういう映像が来てこういう言葉を言って…というイメージを持つことが大切。でも3/20の西武ドームのこけら落としの試合では、僕もけっこういろいろ考えたんだけどボロボロで(笑)。第一声でドジっちゃって。寒くて口が回らなかったんですよ。

萩野

中継が始まるまでの心がけみたいなものは?

国吉

あの時はもう、試合が始まったらトイレに行きたくなるって分かってたから、前の晩からほとんど飲まないようにして、直前は弁当もお茶も手をつけなかった。当日は朝のお茶一杯だけで実況に臨みましたよ。それにデーゲーム、ナイターともに弁当は食べないですね。何が起こるか分からないし、常に最悪の事態を考えていないと。

萩野

実況中の苦労は?

国吉

生放送はアクシデントがつきもの。急に雨が降ってゲームが一時中断して、どれくらい中断するか分からないからフィラー(※残り時間に応じた差し替え用のVTR)も出せない状況になった場合にも、何をしゃべるか考えておかないと。あらゆる場合を想定しておく必要があるんですよ。

中山

実は、実況するアナウンサーは中継車にいるディレクターから直接の指示をイヤホンで受けているんだけど、それに向かって返事しそうになることはありますね(笑)。ちょっと聞き取りにくい場合でもこっちから声を出して応答できないというのはつらいですよ。

国吉

モニターも、グラウンドも、客席も、そして解説者の顔色も見てなきゃいけないからすごい神経使うよ。

中山

僕は解説者の方に会話している時にもモニターから目を離すなと教わりましたね。こっちの心理としては話している時は相手の顔を見たくなりますけど、グラウンドでは何が起こるか分からないですから。

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