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3月16日 花束は気持ちの値段

花束は気持ちの値段


先日、母親の誕生日だった。

家族で食事に行くことになり、
それにあわせて母には花束を買うことに…。

花束って高いなあ…と、いつも思うのだが、
サービス品になっている 出来上がりの花束より
やっぱり、自分自身で花を選んだほうがいいと思った。

これはあの人好きだろうな、
最近流行りのあの花は好きだろうか?…などと
思いを巡らす時間は楽しいものだ。

昔、祖母が言っていた言葉を思い出す。
「わたしが死んでも、菊の花は飾らないで」。
そんな祖母が好きだった花はいい香りのフリージアだった。
お墓参りに行く時、母はいつも仏花を選ばない。

私はと言うと…シンプルなラインのチューリップや
いかにもお花!というような形のガーベラが好みだ。
母親譲りでバラも大好きだ。

話は戻るが、花束は高いと感じることも多い。
でもそれは、このあれこれ考える時間の幸せさに払われていると思う

生花は、やっぱりいい。
最近では枯れない花、プリザーブドフラワーというものもある。
プリザーブドフラワーにはそれなりの良さがあるが、
生花の魅力には勝てないようにも思う。

生花は枯れてしまうものなのに、と考える人もいるだろう。
でも、枯れるからこそ、その一瞬を大切に愛でようと思う 。
生花の魅力は、まさに、その瞬間の美しさなのだと思う。

一輪のバラは高いもので千円を超える。
その一瞬に千円をかける。

一瞬ではあるけれど、
心には、永遠にその色をとどめる力がある 。
写真には残せない、一生ものの一瞬である 。

生花ってやっぱり美しい
色だけではない。
形や感触、香りに心が満たされていくのがわかる。

赤や黄色、ピンクに橙色、春は花屋がもっとも活気づく。
踊りだしそうな色が溢れていて心地がいい 。

インターネットで注文して、人に花を贈ることがある。
近頃は便利さから、そんなことも増えた。
遠くにいる人に贈るには便利なことなのだが、
花を選ぶ楽しい時間は、あくまで「作業」になってしまいがちだ。
今回、「花屋さんで買う」花束を見つめ直した。

花を贈る喜びを知る人は
心の色合いが人より多い気がする

花をもらう喜びを知る人は
ありがとうの種類が少し多い気がする

最近は花束を贈るという行為が喜ばれないという記事を
どこかで読んだことがある。
同じお金を払うなら、より実利が伴うプレゼントが良いと
考える人も多いようだ。
贈られる女性も、贈る男性もそれぞれ。
贈られる男性も、贈る女性もそれぞれ。

どんな高価なプレゼントよりも
小さなブーケのほうがささくれ立った気持ちを癒すこともあるかもしれない。

一輪のバラは、言葉よりも弁が立つかもしれない。

明日の帰り道にでも、
花屋さんをのぞいてみるのはどうだろうか。
春ならば、よりおすすめだ。
きっと、思っている以上に心は、躍る。


 
 
    
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