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身長
165cm
出身地
神奈川県川崎市
出身校
神奈川県立多摩高校→
中央大学文学部
入社年月日
2005年4月1日
星座
獅子座

2014/8/4   1987年のやじこ

1987年のやじこ

最近よく「背景」について考えます。

普段一眼レフで写真を撮っていますと
ポートレートなんかでは
ついつい背景をぼかして
人を際立たせるのに一生懸命になってしまいます。

それはそれでありなのですが…
その一方で「背景」を意識的に撮らねばならないなぁと
強く思うのです。

背景だけも撮っておかなくちゃ!とも思うくらいなんです。

皆さんは、昔の写真や撮りためておいたVTRを
見るときにどんなところに
目が行きますか???

わたしは、自分が小さな頃の写真を見るとき、
背景に、つい目が行きます。

父親がその時乗っていた車が写っているのを見て
その時代を思い出したり、
今はもうマンションになってしまっているけど
家の近くにあった小さな駄菓子屋さんが写っているのを見て
思い出話に花が咲いたりするのです。

ああ、そんな時代があって。
今のわたしが、いる。

時代を感じ取るのって「背景」からなんじゃないかと
考えているのです。

今現在はどうってことないような
日常の風景なのに、
時間が経つと
それがとてもいとおしいものに変化する。
これが「背景」のおもしろさでもある気がします。

ですから最近は、
背景を入れ込んでみるっていうのを意識しています。
ぼかしすぎない。

特に意識をするのは旅行先とかではなく
なんてことない日常風景の背景です。

家の周り、仕事場…
当たり前のような背景を入れ込んで撮るのです。

意外と撮っていないと思いません?
実家の自分の部屋の中ってどんなだったかしら?
庭の木々はどんなものを植えていたんだろう?
昔の会社ってどんな入り口だった?

新しいものが出来てしまってからでは
決してわからない風景。
ぜひ皆さんも今のうちに意識的に残してみてください。

ちなみに、1987年のこの写真。
おそらくフィルムが余っていたのでしょう。
テレビを見てぼけっとしている
小さなわたしが写っています。
なんてことはない
ただ普通の一日の1コマ。

わたしのことはさておき
後ろのキッチンの様子が懐かしくて
つい見入ってしまいます。
炊飯器やポットなどが昭和の雰囲気満載で…
とても楽しいですよね。

空間の遷りかわり
人の遷りかわり
時間の遷りかわり

そうした諸行無常のような感覚の中に
自分が身を置いていると意識すると、不思議と、
今、この瞬間もまた
大切に思えてくるように思うのです。

(auヘッドラインコラム「徒然やじこ」より転載)

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