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11月27日 2008年振り返り!まずは『赤めだか』。

2008年、平成20年を総まくり。
あ、ちょっと早いですか?振り返るのが。

ところでわたくしの趣味は読書と音楽鑑賞です。
至極、一般的な趣味で面白味がないかもしれませんが、
本当に好きなのでひねりようがありません。
今年・2008年もたくさんの本に出会い、曲を楽しみました。
その中でとくに印象的だった作品と体験をご紹介します。

本日は「書籍の部」です!

『赤めだか』 立川談春 著


撮影:小松靖さん
番組でもお世話になり、番組が終わった後でもお世話になり、
誠にありがとうございました。

この本は、落語家の立川談春さんが
師匠となる立川談志さんに出会い、17歳で弟子になり、
真打に昇進するまでの日々を綴ったものです。
入門から真打昇進まで、13年。

13年といえば、わたくしが入社以来
テレビ朝日で過ごしてきた年月と同じ期間です。
それはそれは様々なことが起きて当然の
長い時間ではありますが・・・

それにしても。

談春さんの13年は、向こう見ずな勇気で始まって
右に行ってぶつかって
左に行ってすっ転んで
お金がなくて
ときどき奇跡が起きて
視線の先にはいつも落語と、立川談志。

この本を読むまでは立川談志さんについて
‘破天荒な人’というイメージしか持っていなかったように思います。
天才と呼ばれる人が、そんなに単純なわけはないのですね。
たしかにメチャクチャな方なのですが
落語に関しては真摯で緻密で非常に論理的、
他人をハッとさせるような
本質を突いたことをさらりとおっしゃる。

『赤めだか』には談春さんが聞き貯めた、談志さんの言葉が詰まっています。
キラキラした、宝物のような言葉がギュウギュウに詰まっています。
落語という特殊な世界でだけ通用するのではない
その普遍的なメッセージには
自分に投げかけられているような錯覚を起こして、
夢中になってしまいました。

そして談志さんの言葉自体の強さもさることながら
談春さんの文章力、語りのテンポのすばらしさを
わたくしはみなさんにお伝えしたい。

ひとり勝手連です。

この本を人に薦めるとき、素敵なプレゼントをしてあげるみたいで
とても満足した気分になります。
すでにアナウンス部内でも
森下さんと古澤さんに読んでもらいました。

実はわたくしは、談春さんの独演会に行ったことがあります。
額に汗を浮かべながら前のめりで話す談春さんは、
高座という結界から客席に飛び出してくるようなのに、
次の瞬間にはスッと引いて「ついてこられるかい?」と試すような表情をする。
落語通も熱く支持する噺家のしゃべりに、圧倒されたものです。

始めから完成していたようにみえた、落語家・立川談春。

17歳の少年だったんだなぁ、と思ったら
改めて聞いてみたくなりました。

そういえば『赤めだか』というタイトル、気になりません?
もちろん読んだら謎が解けます。

そして、たぶん切ない気持ちになります。
   
 
    
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