『フリークライミング』って、ご存知ですか?
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この壁を見たら分かる方もいるでしょうか。
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室内に設置された人工の壁を、
岩(ホールド)をつかみながらよじ登っていくスポーツ。
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番号や色が同じものしか使ってはダメなんですよ
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このスポーツに、私も挑戦してきました。
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専用のシューズを履いて、いざチャレンジ!
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必死です。
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こんな姿になっていいの?!と思ってしまうくらい、
ダイナミックな体勢になるスポーツでした…。
わずか20分そこそこのチャレンジなのに、
翌日全身が筋肉痛だったのは言うまでもありません。
高く登れば登るほど「落ちたらどうしよう」という恐怖が生まれてきて…
これは大変なスポーツ!
そんな大変なスポーツに、はまっている方がいます。
彼は、目が見えません。 |
ただいま練習中。
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岩本謙司さん36才。
生まれつき視力が弱く、19才の時、何も見えなくなりました。
その後、クライミングの魅力にはまって、1年前から本格的に練習を始めたばかりです。
子供の頃は運動音痴で、
まさかクライミングにはまるとは夢にも思っていなかったそう。
そんな岩本さんが、なんとクライミングの大会に出場することに…!
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第1回 視覚障害者クライミング世界選手権大会 当日。
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ひぇ〜!た、高い!上の方は、壁が反り返っています!
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この壁を、制限時間内にどれだけ高く登れるかを競います。
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2日間にわたって行われるこの大会は、
フィギュアスケートのショートプログラムとフリープログラムと同じように、
1日目、口頭でのアドバイスを受けずに自力で登るオンサイト、
2日目、コーチから指示を受けながら登るアフターワーク、
この2回の合計得点で争われます。
初日のオンサイトの成績で、岩本さんは現在3位!
「初日失敗しなかったら入賞もあり得たかもしれないんですけどねぇ。」
と笑う岩本さん。
2日目の挑戦で、どこまでいけるのでしょうか?!
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鈴木コーチと。制限時間は10分。一度落ちれば、そこで試合終了です。
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さぁ、挑戦!
順調に登っていく岩本さん。しかし… |
一番難しい傾斜で… |
ああ!残念!!頂上まで登ることはできませんでした!
「もっと行けました…」
額に大粒の汗をかきながら、岩本さんは悔しそうに語っていました。
ところが!
その後、強豪たちが次々と失敗していき、
なんと最終成績で・・・・・・岩本さんが優勝!!!
表彰式の後、優勝の感触を確かめるかのように
手にしたメダルを何度も何度も触っていたのが印象的でした。 |
優勝おめでとう!
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「運動音痴も、やればできるってことでしょうかね。」
謙虚にそう言っていましたが、
1日3時間、週2回の練習を続けた努力の賜物です!
「今回はポイントで勝ったから、次は文句なしの勝ち方したいですね。」
と、早速、次の目標に向かって歩み始めていました。
彼は、登った先に何を感じるのでしょうか。
なぜ、登るのでしょうか。 |
私も目隠しをして挑戦。
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見えない状態で挑戦してみると、頼りは聴覚と触覚です。
次にどこをつかめばいいのかが分からないので、
トレーナーの声を頼りに手を伸ばし、
ホールドがそこにあるのを手探りで確かめ、つかみます。
しがみつく時間が長く、より体力を必要とする一方で、
自分の頭の中で次のステップを描いていくと、
1つ1つクリアするたびに、感覚が研ぎ澄まされていく気がしました。
岩本さん曰く、
その1つ1つクリアしていくところに、達成感を覚えるそうです。
壁は動かないので、自分のペースで探りながら登れるし、
目標に向かって戦略的に考えれば、課題を解決できる。
目が見えない方たちは、
街中では、何かにぶつかるんじゃないかって、不安に思うことも沢山あるそうです。
でも、壁を登っている時は、
ロープに守られながら思い切り羽を伸ばすことができる。
この競技においては、
子供とか、女性とか、目が見えないとか、関係ない
。
違うということを意識せずに、一緒に楽しむことができる。
そこに、フリークライミングの魅力があるのだとか…。
横着せずに、自分の前にあるものから1つ1つクリアしていく…
その着実な積み重ねの先に、大きな達成がある。
そんなことを教えていただいた、今回の取材でした。
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おまけ。いい表情を撮るためによじ登るディレクター。
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