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身長
154cm
出身地
宮崎県
出身校
宮崎西高校→
慶応義塾大学総合政策学部
入社年月日
2002年4月1日
星座
獅子座

6/21  リアルほやボーヤ

気仙沼の知り合いに会いに行ってきました。


久しぶりに会ったほやボーヤ

ご存知、気仙沼の特産品をモチーフにしているゆるキャラ。
手にはサンマの刀、ホタテのベルト、
背中にはサメ皮でできたマントをはおっています。
そして頭は、ほや。
これ、本物に忠実なんです。
角の先を見てください。


角アップ

左が+、右が−になっているでしょう?
ふざけているわけじゃないんです。
実は…


どーん

本物もそうなっているんです!!
マイナスから水をぴゅと出し、プラスから水を吸う。
この不思議な生物をその場で捌いていただくことになりました!

口に入れると…
さ、爽やか☆
大海原が口の中に広がります。
潮の香りはじきに消え、残ったのは爽やかな甘み。
とにかく甘い。どうして?と思うくらい、果物みたいに甘い。
『海のパイナップル』という呼び名に納得。
固いセルロースの鎧から想像もできないほど滑らかな絹の柔らかさで、
でもシャキっと歯ごたえも残っていて、
ホヤがこんなに美味しいものだとは思いませんでした。
捌いた後、時間が経てば経つほど臭みが増していくそうで、
本当は船の上で獲れたてをいただくのが一番いいのだとか…。
ホヤは、現地で獲れたてホヤホヤを食べるに限りますね!
…失礼しました。

いつもお世話になっている旅館の方にご縁を結んでいただいて、
牡蠣養殖の畠山重篤さんにお会いしました。

畠山さんは、
国連が2011年に世界の8人に選んだ『フォレストヒーローズ』の1人です。
『森は海の恋人』なのだそうで、
牡蠣の美味しさには森の養分が大いに関係しているとして、
海と森を高さ6m以上の防潮堤で遮断してしまうことに疑問を感じていました。

防潮堤で海を囲むことに関しては、
観光業や養殖業、漁業、様々な立場の方たちが「なぜ」と感じているようです。
海沿いに住む方の言う『海とともに生きる』って、
どういう形が理想なんだろう…と考えてしまいました。

脱線しましたが、
その畠山さん、震災の後「海は死んだ」と思ったそうです。
牡蠣の養殖には、牡蠣のエサになる植物性プランクトンが必須。
もうこの海にはプランクトンはいないのではないか。
不安を抱える畠山さんに、
海を調べに来てくれた京都大学のチームがこう言ったそうです。
「畠山さん、大丈夫です。牡蠣が食いきれないほどいます!」
そして今、
おなかいっぱいになった牡蠣やホタテが、
殻からはちきれそうなくらい育っています。
「ホタテが好きな人は、
あの舌に絡み付くような柔肌の美味しさを知ってるんじゃよーふぉふぉふぉ」と、畠山さんは嬉しそうにおっしゃっていました。
なんとも魅力的な、熱く誇り高き牡蠣おじいちゃんでした。
…フォレストヒーローに失礼なことを申し上げたかもしれません。ごめんなさい。

震災から4日後に取材で入った鹿折地区。シロツメクサに覆われていました。
あの時の焦げたにおいや、
夏の溜まったまま淀んだ海水のにおいはなく、
甘くて淡い花の香りが優しく立ち込めていました。
「どこから来たの?」
日焼けした年配の男性が声をかけてきました。
「東京です」
「これ、あげる」

手渡されたのは四ツ葉のクローバー。
地元の漁師さんでしょうか。
応える間もなく、
その方は次の四ツ葉のクローバー探しに向かっていきました。

たくさんの命がそこで失われて、
たくさんの方が傷を負って、
懸命に立ち上がって新たに築いてきた2年と3ヶ月。
まだ避難されている方は全国で29万8千人もいらっしゃいます。
プレハブの仮設を出て、震災前のような営みを取り戻すまでに、
地盤沈下した土地のかさ上げ、
住民の意見の取りまとめ、高台移転の土地の造成、
盛り土をして、防災緑地帯を作って、
インフラを戻して、まだまだやることがいっぱいあります。
「元気を出さなくちゃやってられないんだよ。」
少しでも力になり続けていたいなと思った日曜の午後でした。

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