横浜Fマリノス対ガンバ大阪
2000年4月29日(土)横浜国際総合競技場
観たことの無い試合。
観客席、沸きに沸いていました。
この日Fマリノスは退場者を出し、最終的には9人で戦いながらも4対1と圧勝。
ジュビロ磐田が1試合少ないので暫定ではあるものの、首位をもぎ取ったのです。
9人で今シーズン最多の4得点。
実際試合を観ていながらも、なんだかにわかには信じられないような…。
でも本当なんです。
「9人で圧勝!」
試合が始まる前から、並々ならぬ集中力が伝わってきました。
20,3度と暖かかったこの日、
ピッチでのウォーミングアップを終えた選手達は既に汗びっしょり。
26日の韓日戦を終えたばかりの中村俊輔選手、ユ・サンチョル選手、
稲本潤一選手、小島宏美選手が一堂に会する試合。
特に、韓日戦で後半わずか8分間しか与えられなかった中村俊輔選手が
この日はどんなプレーを見せてくれるのか、とても楽しみでした。
しなやかな動き、左右に大きくステップを踏むフェイント、
キックの瞬間顔が下を向いたように見えるのに、
なぜか狙ったところにピンポイントで届くパス。
個性的なリズム感。
オリンピック代表では抜群に輝きを放っていながらも、
韓日戦でフル代表として本領発揮する時間を与えられなかった彼だからこそ、
相当のモチベーションをもってガンバ戦に臨むだろうと…。
退場者を出し9人になってからの後半25分、
中村選手が、Fマリノス4点目のゴールを決めました。
永井選手のパスを受け、ドリブルで、味のあるフェイントを見せてのゴールでありました。
そう、なんだか味がありますよね、中村選手のフェイントって。
「ツタタッ・・ツタッ、トトン、トットトン」う~ん…うまく表現しきれない…
とにかくいえるのは、日本人的2拍子では決して無いということ。
八分休符、時に十六分休符をはさみながら、
まるでシンコペーションのような独特のリズム感があって、とても好きです。
人数が少ない中、容易にはつかみきれない「俊輔リズム」で相手を翻弄しながら前へ前へ。
数では圧倒的に不利だったはずの中、それでも追加点をあげられたのは、
この必殺シンコペーションが最高のモチーフとなったから。
そんな風に感じました。
試合後の中村選手は、
いつものように淡々と、それでいて味のある語り口でこたえてくれました。
「素晴らしいゴールでしたね。」
「ん、別に、普通に蹴っただけ。」
凄すぎます。やはり一味違います。
わたし自身悔やまれるのは、
呆気にとられてしまったばかりに、
間髪入れずに
「そのシュートがトウキックでなくてはならなかった訳」
を訊き出すことができなかったこと。
そう。
いつか「トウキック」の秘密を訊かなくては。
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