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11月2日 映画紹介番外編!〜はぎのの徹底的イタリアかぶれ V
(イタリア映画館事情をリポート!) +映画『砂と霧の家』

 このたび初めてイタリアで映画を観てきました。遅め「夏休み」の一人ミラノ。
独学中のイタリア語学習を兼ねての映画鑑賞です
(イタリアではどの映画もイタリア語吹き替えで上映しているのです)。
ところがその映画館でちょっとしたカルチャーギャップに遭遇。
とても興味深いギャップでしたので、
今回は「イタリア映画館リポート」させていただきますね。

MILANOのDUOMO周辺 
自分撮りパート1.
一人なので右手を伸ばして。
道行く人々の「何やってんだろう」の
視線は笑顔ではねかえして。

 ミラノのDuomo(ドゥオーモ=町の重要な教会)の周辺は、
大きな通りに店が建ち並びたくさんの人たちで賑わっている。
夕方Rinacente(リナシェンテ)というデパートの脇を入ると
更に人がごった返している。
何だろう?そこが映画館だった。
時刻表を見ると丁度いいところに『SPIDER−MAN 2』!
一度見ている映画だからいい勉強になるなと思い、
早速18時半上映のチケットを買った。
7ユーロ50、1000円しない。やはり日本の料金は高い、と感じる。
 上演最初、まず「音」に驚く。小さい。
いや音量というより音の厚みが、日本とは比べ物にならないほど、無い。
いわゆるサラウンドではなく前からだけ聞こえてくるイメージ。
そして「灯り」。日本ほど真っ暗にならない。
スクリーン以外の景色や人々の挙動もうっすら見えるくらい。
そしてなんといっても静寂知らずなのには驚いた。
オープニングではまだ誰も黙らない。大声ではないが喋っている。
日本のような、「映画に集中!」という空気がない。いつ頃静かになるのかな。
さすがにオープニングのクレジットが出る段を過ぎると少しずつおさまるが、
あくまで「静かな感じ」にはなるものの、
誰もが息を潜めているような空間とは無縁だ。
日本のようないわゆる「咳をするのも忍びない」ような静寂は、
ついぞ訪れることは無かった。ちょっと笑える。
 静かじゃないから映画をちゃんと見ていないのでは?
というとそういうことでもなく、
皆が楽しんでいることも一緒に伝わってくると言えばいいのか、
静寂を強いられる状況にいるよりもリラックスして映画に入っていく感じ。
なんだか、大きなリビングでみんな一緒に見ているという雰囲気である。
朱に交わればとはよく言ったもので、
そんな雰囲気に私もどっぷり浸かって『SPIDER−MAN 2』を満喫していた。   
 といってもまあここまでは、
「アメリカでだって結構うるさいしね、イタリアに限らないよね、」
という印象を持つ方がいらっしゃる場合もあることでしょう
(ちなみに私はアメリカでの映画鑑賞経験無し)。
 日本では考えられない最たるギャップ。
それは怪人に変貌したDr.オクタヴィスが銀行を襲うシーンで突如やってきた。
なんと「上演の中断」である。セリフ終わりでブツッと途切れ、
容赦なく煌々と電灯が付く。
すたすたと思い思いに人々は立ち上がり、
売り子さんがポップコーンやジュースを売りにくる。
「そうだ途中休憩があるんだった!」以前、井筒監督と
『イタリア・シネマの旅』という特別番組でその旨のロケをしたことを思い出す。
でも、部分的に撮影でかじるのと、
実際に映画を観ていて体感するのとでは訳が違う。
正直不意打ちをくらったような驚きだった。
 にしても笑えるのだ。
中断のタイミングも容赦なければ、上演再開のタイミングもいきなりだ。
正味4〜5分の休憩が終わると、
何の前触れも無くブザーのひとつも無くいきなりの再開。
しかも消灯が追いついていない。煌々と明るい中で上映が始まり、
しかも売り子さんもはけきっていなければ席をはずした人々も戻りきっていない。
どんな態だ。おいおいもう喋ってるってば、スパイダーマンとメリージェーン・・・。
 しかしそれにしても、2時間集中がもたない、もって1時間か。
なるほどイタリア人が大好きなサッカーって休憩挟んでの90分だから
よく出来たものだな、なんて妙な感慨にふける私。
 でも、実は羨ましく思った。
スパイダーマンが格好よくビルからビルへ飛び移るシーンでは
「FuuuFuuuuuu!!!」と喝采が飛び、
ピーターがメリージェーンに告白できないシーンでは
「Ahhhh〜」と露骨なため息、キスシーンでは「ヒューヒュー!!」と盛り上がる。
楽しくていいなあ、声出すことを咎められる雰囲気が無いっていいなあと。
 特にスパイダーマンのような映画だからじゃない?とお思いの皆様。
ですよね、私もそう思ったので(というだけの理由ではありませんが)
翌日も観に行ったんです、『THE BOURNE SUPREMACY』。
マット・デイモンが格闘して相手をしとめるたび必ず
「Bravo!」と低い声で力んでいた女の子におじさん、
シリアスなシーンでのいきなりの休憩。やはり基本同じだ。
 
 さて、帰国後先日試写を観た。『砂と霧の家』。物凄く辛い映画だった。
試写のパンフレットには「感動」という単語がそこかしこに記されていたが、
どうなのだろう、「感動」という表現が適切なのだろうか。
感情が強く揺り動かされるということでなら、とてつもなく確かだが。
 観たことのない映画。とにかくどこまでも辛い、そして考える。
辛すぎるから、考えることで辛さを抑制しようとする。
鑑賞後、結末から逃げたくなる拒絶したくなるくらい辛い。
なのに逃げられないものだから余計に辛い。そうして今も逃げ切れていません。
だからどうぞ、どうぞ観に行く時は覚悟して。これが私から言える精一杯です。

■作品データ/『 砂と霧の家』
監督・脚本:ヴァディム・パールマン
原作:アンドレ・デビュース3世
撮影監督:ジェニファー・コネリー、ベン・キングスレー、
      ロン・エルダード、ショーレ・アグダシュルー
配給:アーティストフィルム ギャガ・ヒューマックス/2003年/アメリカ/126分

※11/6(土)より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系でロードショー

■『砂と霧の家』公式サイト

http://www.sunatokiri.jp/

     
自分撮りパート2.こちらはセルフタイマー使用。
  ◇付録報告
イタリアのハンバーガーチェーン店では、
期間限定「オリエンタルバーガー」の展開中で
コマーシャルもたくさん流れていました。
太鼓のリズムに乗って、
日の丸をイメージした映像
(舞妓さんの白塗りの顔に真っ赤な紅、
白い砂の上に赤い和傘をさした人を
俯瞰で捕らえた画などなど)がテンポよく編集され、
最後にグォーンと銅鑼(ドラ)が鳴ります(笑)。
ポスターには、「楽し」「香り」などと漢字と仮名で
書かれた文字がバーガーの写真の上に
レイアウトされていました。
ヨーロッパでのオリエンタルブーム、特に「漢字人気」はまだまだ続きそうですね。
そうそう、オリエンタルバーガーにはお箸まで付いてきました(驚)
ちなみに滞在中3度も食べた私です。おいしかったっ!
   
 
    
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