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身長
177cm
出身地
埼玉県さいたま市
出身校
県立浦和高校→
早稲田大学
入社年月日
1992年4月1日
星座
天秤座

10/31 尖閣上空を取材してきました!

先日、朝日新聞の小型ジェット機に搭乗し、沖縄県の尖閣諸島周辺の上空を取材してきました。

羽田空港を朝7時に離陸し、沖縄の普天間基地や嘉手納基地など米軍施設を上空から撮影した後、一旦、那覇空港に着陸して給油。昼前に再び離陸して一路西へ針路をとり、尖閣をめざしました。


飛行機

那覇空港を飛び立ち、一面に広がる東シナ海の大海原を眼下に眺めながら約1時間西へ飛行していた時、突如、機体の右前方に、巨大な島影が飛び込んできました。尖閣諸島最大の島・魚釣島です。


魚釣島

上空から初めて見る魚釣島は、大海原の中に急峻な山々が突き出すように存在する、非常に個性的な風情で、実際に上空から確認すると、その姿はこれまで映像で見ていたよりもはるかに大きく感じました。
すぐ東側にある北小島、南小島と相まっての3島の眺めは大変美しく、思わず目を奪われる独特の存在感を醸し出していました。

島の西側には、岩場をくりぬいて作られた、かつての船着き場も確認でき、日本人が暮らしていた生活の跡が上空から窺えました。また、この魚釣島のすぐそばの海上では、海上保安庁の巡視船が停泊し、島の周りを監視しているようでした。

尖閣諸島周辺では、日本政府の尖閣国有化以降、ほぼ連日、中国の公船が航行しています。この日も、我々の飛行機のレーダーには、島の南西の方向を航行する船団らしきものが映し出されていました。

その船影を追って、魚釣島から南西へ25キロほど進んだところで、眼下に7隻の船団が確認できました。場所は日本の領海を出てすぐのあたりの、日本の接続水域内です。中国の海洋監視船が4隻、一列に連なって南東方向へ航行。そのすぐ横を、日本の海上保安庁の巡視船3隻がぴったりとマークし、監視しながら並走していました。


中国船と海保船

中国側と日本側の船団が縦2列になって平行に航行する様は、
まるで、かつての海戦を彷彿とさせるようで、独特の緊張感を漂わせていました。 海上保安庁の巡視船は、中国の海洋監視船の内側を航行していて、中国船がそれ以上尖閣諸島側に入ってこないようにブロックしているようにも見えました。


その後、私たちは航路を北にとり、中国が開発を進めるガス田上空を目指しました。
尖閣諸島から飛行機で30分ほどで、日中中間線のほぼ真上に到達しました。

飛行機の進行方向左側の眼下には、中国のガス田、白樺(中国名・春暁)がはっきりと見えました。日中中間線からわずか1.5キロ中国側に入ったところです。

このガス田は2008年に日中間で共同開発を目指すことで合意していたのですが、その後の漁船衝突事件などで政府間の関係が冷え込んだことから、共同開発の計画は止まっています。

上空から見ると、白樺ガス田のすぐ傍には作業船が横付けにされ、何らかの搬入作業が行われていました。また、ガス田のやぐらもかつてよりも巨大化していて、中国側が単独で着実に開発を進めている様子が見てとれました。

また、この白樺ガス田の少し奥では、もう一つのガス田、樫(中国名・天外天)の存在も上空から確認できました。


ガス田・樫

ガス田・樫は、白樺よりもさらに巨大なやぐらが2つ築かれ、片方のやぐらの突端からは、ガスの炎が上がり続けていました。やぐらの周辺には、上空から見ただけで4隻の中国の作業船らしき船の姿も確認できました。また、2つのやぐらは、巨大な鉄骨の橋で結ばれ、あちらこちらに照明がともり何人もの作業員の姿も見えるなど、開発がかなり進んでいることがうかがえました。

日本政府による尖閣の国有化から2か月近くが経ちますが、政治レベルでの対話の窓口は閉ざされ、経済関係も冷え込む一方で、解決の糸口は全く見えていません。しかし、そうした中でも、日中中間線の下では、中国側はしたたかにその権益を拡大しつつありました。

GDPでも日本を抜き、軍事費も大幅に増え続けている中国。この隣人と、今後日本はどう付き合っていくべきなのか、深く考えさせられた今回の上空からの取材でした。

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