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身長
175cm
出身地
愛知県名古屋市
出身校
都立国立高校→横浜国立大学
入社年月日
1999年4月1日
星座
乙女座

2014/11/6 笑顔のままで~ALSと闘い抜いた従姉・むっちゃん~

「私は自分のことが世の中で一番嫌いだと思っていました。
こんなに自分のことが好きじゃない人間はいないと友達に言ったこともあります。
それぐらいです。(中略)でも、このALSという病気になってからの自分は好きです。」

2014年8月21日木曜日の午前0時11分、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘ってきた、従姉のむっちゃんこと富川睦美が亡くなりました。46歳という若さでした。


赤ちゃんが私で一番右がむっちゃんです。

彼女がALSという難病であるとわかったのは6年前、発症してからの平均寿命は2~3年と言われていたことを考えると、「かなり頑張った方」だと思います。
そのむっちゃんが、亡くなる2か月弱前にメッセージを残していました。
その一部が冒頭の言葉です。

現時点では不治の病であるALSに苦しめられたはずの彼女は、なぜ自分を好きになれたのでしょうか。

 

そもそも私が報道ステーションで彼女のことを伝えたのは、何よりもむっちゃんの「ALSをできるだけ多くの方に知ってもらいたい。」「いつかALSが難病ではなくなる日が来てほしい。」という強い思いがあったからです。
もちろん「むっちゃんを助けたい!」という身内としての強い思いもありましたが、私も、むっちゃんも、「間に合わない」ことは薄々気づいていました。

取材を始めたのは去年の8月。つまり発症してから5年目でした。
そのときのむっちゃんは右手首だけ動く状態で、かろうじて握手はできました。
そのかろうじて動く右手で携帯のゲームをすることが楽しみでした。

しかし、日に日に病状は悪化します。
右手は指しか動かなくなり、体重は20kg台に。
呼吸も「吸えるけど吐きにくい」状態になり、低気圧が近づくと過呼吸に。
とくに今年は台風や豪雨が多く発生しました。
その分彼女にとっては非常に苦しく辛い日々が続いたのです。

それでも彼女は
「まだこれはできる。」
「これはできなくなったけれど、まだこれはできる!」
と前向きに生き続けました。
そして笑顔であり続けました。

そんな彼女に、「命の選択」を迫られる時がきました。
人工呼吸器をつけるかどうかを自分の意思で決めなければならなかったのです。

当然私も、彼女の親友たちも「つけてほしい」と願っていました。
身体が動かなくなっても生きてさえいてくれればそれでいい。
むっちゃんはむっちゃんだから・・・

しかし、むっちゃんは「つけない」ことを選択しました。

「普通なら自分が介護しなければならない高齢の両親に、これ以上介護で苦労させるわけにはいかない。」
「両親の老後の計画が狂ってしまう。」
そして、自分が「笑顔でいられなくなってしまう。」・・・

むっちゃんは「笑顔のまま」死にたかったのです。

 

彼女の意思は非常に固く、ぶれることはありませんでした。

 

そして8月21日。
彼女は天国へと旅立ちました。
笑顔のままで。

周りには苦楽を共にしてきた両親や親友の姿がありました。
医師や看護師さんらの姿もありました。
みなさんむっちゃんが愛し、愛された方々です。

 

ALSになって、むっちゃんの周りにはそれまで以上に人が集まるようになりました。

親友のみなさんは進んで食事の介助をしてくれました。
男性の介護職員はベッドから車いすに移動するとき「お姫様抱っこ」をしてくれました。
結婚はしませんでしたが、両親にお礼の言葉を伝えることができました。
子どもはいませんでしたが、姉の子どもである甥っ子と姪っ子を育てることができました。
その二人は介護を手伝ってくれました。

むっちゃんは最期まで笑顔でいることができました。

むっちゃんはALSになって自分のことを好きになれました。

 

物心ついた時から大好きだった従姉のむっちゃんがALSと闘う姿を
私は最期まで追い続けることができました。
従姉としてだけではなく、初めて取材者としても向き合ったことで、
改めて彼女の強さ、優しさ、清らかさを実感しました。

むっちゃんが亡くなった今、私にできることはむっちゃんの意志を継ぐことです。
より多くの方にALSを知っていただいて、少しでも早くALSが難病ではなくなる日が来てほしいという思いを込めて、今回、ALSの最新医療や研究、支援機器などの開発最前線を特番として放送させていただきます。

京都大学の山中伸弥教授にもお話を伺います。

12月21日(日)に放送予定です。
詳細がわかりましたらまたお知らせさせていただくので、
どうぞみなさま力をお貸しください。

よろしくお願いいたします。

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