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11月10日   ワールドプロレスリング実況四銃士の闘魂コラム#92
<四銃士の10・9両国>〜チャンピオン〜

10・9両国。
集まったファンは
棚橋弘至という男をチャンピオンとして認めた。

とかく誤解を招きやすい男だ。
逆三角形の完成されたボディは「見せかけの筋肉」と
揶揄されることもある。
甘いマスクと達者なマイクパフォーマンスが
女性の黄色い歓声を呼び、
それゆえに男性ファンからのブーイングを浴びる。
これまでの棚橋といえばそんな印象だったかもしれない
「強さより人気が先行しているレスラー」と。

実際の棚橋はそのイメージや評判とは180度違う。
プロレスラーとして常に肉体を追い込んでいるだけ
プロレスを愛し、いつもプロレスのことばかりを考え
その思いを口にしているだけ。
それなのに何故かいつも誤解を招いてきた。
その誤解という鎖を棚橋は自らの手で断ち切ったのだ。

試合前、IWGP王者の棚橋とG1覇者の天山に
送られる声援は五分と五分。
棚橋を認めたくない男性ファンからはしきりにヤジが飛んだ。

それが時を追うごとにヤジが消えていく。
「棚橋!」「天山!」という片方の選手への声援も消え
両者への賞賛の声に変化していった。
それは不思議な光景だった。

死力を尽くした闘いに勝利したのは棚橋弘至。
その瞬間、満員の両国は初防衛を果たして強さを証明した。
チャンピオンを大歓声で称えた。
ヤジを飛ばしていたはずの天山ファンまでもが
棚橋を認める声援を送る光景。
そこに新日本の未来を見た気がした。

これからは棚橋を中心に新日本は回っていく。
凱旋した中邑が、
ジェラシーを隠さない山本が、
永田が、中西が、
棚橋の腰に輝くIWGPを目指していく。

新日本が上昇カーブに転じた。


棚橋弘至
   
 
    
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