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ここだけ!ことばメモ



reported by 坪井直樹

 

コ ト ノ ハ (2011年 1月発行)
発行 島本真衣/本間智恵

 


島本真衣
 
本間智恵

正しくわかりやすく美しい「言葉」を扱うために。
広く「言葉」について考える「コトノハ」です。2011年初回号です。



 
■01■ 要注意!その(1)


◇『乱高下』はなんと読む?

「乱高下」を「らんこうか」と誤読しがち。

正しくは… 【  ら ん こ う げ  】です。

主に証券用語としてよく使われる言葉で、
「相場などが短期間のうちに激しく上下に動くこと」です。

「乱調」または「乱調子」とも言い、
このように変動が激しく落ち着かない相場を「乱相場」と言います。

騰(こうとう)」と「落(らく)」が合わさったと考えると覚えやすいかもしれません。

■02■ 要注意その(2)


◇『とりつくヒマがない』?『とりつくシマがない』?

どちらが正しいでしょうか?
正解は…“シマ”で、【 取り付く島がない 】という慣用句です。

 “島”を“暇”だと勘違いしてこの慣用句を誤用する人が多いようです。 
誰かに会いたいけれど相手に暇がなくて会えない、という意味で使っていませんか?



正しくは、相手の態度が冷ややかで言い出すきっかけさえ見つからない 
という意味で使います。
<例> 
     「A子先輩、取り付く島がないんです。
     「何か怒らせるようなことでも言ったんじゃない?」
     「そんなことはないと思うんだけど…。」

相手との関係がうまくいっていない時に使うべきなのです。
注意しましょう!

■03■ 漢字クイズ

読み方を答えてください。

 1)幕間 
 2)あり得る
 3)漸く
 4)暫く
 5) 月極

答えは、一番下に!

■04■ 蔓延する「頭高」アクセントに注意!

最近流行!?の頭高アクセント。 
業界用語のように、「通」っぽく、使われる傾向にあるようです…。

・雇用(よう)   ・行政(ぎょうせい)   ・採択(いたく)   ・資本(ほん)
・公判(うはん)   ・判決(んけつ)   ・背景(いけい)   ・指導(どう) 


と「頭高」で読む人が増えていますが、すべて「平板」で読むのが正しいのです。




★ 漢字クイズの答え

↓良く間違えられている読み方

1) まくあい            ×まくま 
 
2) ありうる            ×ありえる  否定形なら「ありえない」ですが… 
 
3) ようやく     ┓
                         ┃ この二つは混同しがちですね。
4) しばらく     ┛    
 
5)  つきぎめ     ×げっきょく

【 「しばらく」 について… 】
歌舞伎十八番中に「暫(しばらく)」という演目があります。
罪のない善男善女が悪人に捕らえられ、まさに皆殺しにされようとする危機一髪の時に、
「しばらく〜」という声とともに現れた主人公が超人的な力で荒れて救う物語。

歌舞伎創始者とされる市川宗家のお家芸「荒事」芸を代表するものとして有名です。
(荒事とは、歌舞伎で勇士・鬼神の類を主役とする勇壮な狂言、簡単に言えば正義の味方のこと)

 
次号もお楽しみに!


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