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-  「雰囲気」は「ふイんき」!?〜慣用読みの今〜 -
 

田原浩史アナ
田原    坪井君、視聴者の方から質問が来たよ。

(質問)
『雰囲気』という言葉なのですが、よくラジオなどを聞いていますと、
アナウンサーの方で『ふいんき』と話されているとおもいます。
確かに自分も使う時は『ふいんき』と言うのですが、
漢字変換などは「ふんいき」でしか変換しないと思います。
実際どちらが正しいのでしょうか?

田原    正しいのはもちろん「ふんいき」だけど、
最近若い人の間では「ふいんき」という人が多いという指摘があるね。
アナウンサーの中にまで広がりつつあるとは思いたくないけど、ちょっと気になるね。
こんな風に、誤用から始まって、今では標準となっている言葉は結構あるよね。
「慣用読み」というのだけど、坪井君まとめてみてくれない?

〜そこで今回は坪井がまとめてみました!みなさんきっと驚きますよ!〜

坪井直樹アナ

例えば、次にあげることばは全部慣用読みです。
まず、みなさん何と読みますか?

@輸入 A見参 B惨敗 C独壇場 D堪能

「ゆにゅう」 「けんざん」 「ざんぱい」 「どくだんじょう」 「たんのう」ですよね?
でも実はこの読み方は間違った読み方で、それが定着してしまったのです。

もともとの正しい読み方は・・・

@しゅにゅう Aげんざん Bさんぱい Cどくせんじょう Dかんのう 

なんですよ。

独壇場は「だん」の読みに合わせて漢字まで「壇」に変わってしまいました。

ある番組を見ていたら「参院選惨敗」をナレーションで「ざんぱい」ではなく
「さんぱい」と言っていてビックリして調べたら「さんぱい」とも読むとありました。
ことばの定着度によって、かえって「間違いじゃないの?」と誤解されることもあります。
アナウンス部でもその線引きに悩むケースが出てくるんです。
かと言って・・・
「雰囲気」はまだ「フインキ」とは(放送では)言っちゃダメですが、

例えば、次のことばは、もう間違った方に変化しつつあります。

寄贈 ●うろ覚え ●荒らげる ●依存 ●有り得る

私達が昔習った正しい読み方は・・・
きそう ●うろおぼえ ●あららげる ●いそん ●ありうる

でも今は・・・
きぞう ●うるおぼえ ●あらげる ●いぞん ●ありえる
と間違った読み方でも違和感がなくなってきています。

寄贈については若手アナウンサーにどう読むか聞いたら、
ほとんどが「きぞう」と濁って読むと答えました。
「依存」と「有り得る」はそれぞれ半々に分かれました。
荒げるについては本来の「あららげる」と読む人はゼロでした。
荒げるの読みは完全に「あらげる」で定着していて、
放送でも「あらげる」と読むのはOKにしています。

ご指摘いただいた、この「フインキ」ということばは、今まさに
ことばが時代とともに変化している真っ只中を象徴することばですね。
私たちがこれを感じることは非常に有意義だし、
アナウンサーである自分たちは今以上にことばに敏感で正直でありたいと思っています。

みなさんの身の回りで気になったことばがありましたら是非ご一報ください!


萩野志保子アナ
    
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