なるほど、野村アナも寺崎アナも、その言葉が生む効果を計算してこのような言葉を使っているんですね。
さて、「○○になります」や「○○であります」「○○でございます」に共通しているのは、アナウンサーとして、より丁寧に、よりきちんと伝えようという意識が強く働いているということです。テレビの向こうにいる、視聴者の皆さんを強く意識しているのです。
私たちアナウンサーは、スタジオやインタビューなどで目の前の人に対して丁寧に表現するだけではありません。自分たちの会話をテレビで見ている人に対しても、丁寧な表現になるように言葉を選んでいます。その結果、時として文法上、過剰な表現をしているのです。(してしまう時もあります)
敬語の使い方や、アナウンサーとしての言葉遣いを考えると、必ずしも正しいとはいえないのですが、『敬意』や『丁寧さ』を言葉に表そうという気持ちは「敬意表現」に他なりません。それを考えると、頭ごなしに「間違っている!」と言う気持ちにはなりません。
しかし、飾りすぎた言葉には違和感や不快感を覚える人も多いようです。みだりにこれらの表現を多用すると、せっかくの「より丁寧に、きちんと」という気持ちまでもが伝わらなくなってしまう恐れがあります。
演出として、使用する場合には、その点を十分に考慮しなくてはなりません。寺崎アナの「○○であります」も野村アナの「○○になります」も、そのことと本来の正しい意味や用法を認識した上での「技」だったんですね。 |