2007年2月28日(水)9:00〜9:54pm第18話「殺人の資格」

 薫(寺脇康文)はなじみのゲイバーのママ、ヒロコ(深沢敦)から芝木(相島一之)というルポライターが雑踏で危なく人を殺しそうになった、と連絡を受ける。
 芝木の部屋を捜索した右京(水谷豊)と薫は、何者からか送り付けられたビデオテープを発見。そこには芝木のマンションの大家・富美代(菊地由希子)が殺害されるシーンが録画されていた。富美代は裏で高利貸しとつながっており、家賃がないという住人を紹介しては高い金利を取っていた。ヒロコによると、芝木もその被害者の一人だったらしい。
 さらに捜索すると、「次はあなたの番です」と殺人を指示する手紙が見つかった。
 芝木が誰かを殺そうとしたこと、芝木が殺された富美代に敵意を持っていたこと、そして富美代殺害犯から殺人を指示する手紙が来ていたこと。
 それらを総合した右京は「交換殺人」が行われようとしている、と指摘する。

 右京と薫は伊丹(川原和久)ら捜査一課にも強力を依頼。ビデオの撮影場所がとあるレンタルスペースだったことを突き止める。が、レンタルスペースの店員の話によると、部屋を借りたのは富美代で、若い男性と部屋にやって来ると、何事もなかったように2人で帰っていったという。つまり殺人は偽装!? どうやら犯人の目的は富美代を殺したと見せかけ、芝木を殺人者にすることだったらしい…。

 芝木がかつて帝都新聞の政治部記者だったことがわかった。当時の同僚から話を聞くと、建設会社の不正献金にまつわるスクープ記事を書いた芝木だったが、その記事で名指しされた田ノ上(国枝量平)という建設会社の総務部長が、厳しい取調べもあって自殺。警察は非難され、記事を書いた芝木も事件がうやむやになったため、社内処分されたという。そして、芝木は田ノ上の遺族に頭を下げに行ったが、面と向かって「人殺し」と言われ、翌日辞表を提出。そして田ノ上を取り調べた伊庭刑事(鶴岡修)も責任を感じ辞職していた。

 芝木のもとに届いていた手紙には「今度こそ自分で手を下して…」と書かれていた。以前にも芝木が誰かを殺したことがあるかのような書き方だ。ということは、犯人は芝木が田ノ上の自殺で「人殺し」と言われたことを知っていたことになる。犯人は芝木から富美代にだまされたことなどを聞き出し、犯行を計画した…。そこまで芝木を恨んでいる人物…、自殺した田ノ上の一人息子・啓(辻本祐樹)が怪しい。
 右京らは啓の部屋で数々の証拠を発見、そして芝木に殺させようとしている人物が伊庭元刑事であることをつかむ。

 右京と薫は芝木を止めようと伊庭元刑事の現在の勤務先へ急行。ナイフを構えた芝木だったが、あと一歩のところで思いとどまり右京らも胸をなでおろす。
 右京と薫は現場にいた啓を逮捕。胸を痛める芝木に、復讐という愚かな行為にとりつかれた啓を救ってやって欲しいと訴える。
 右京のそんな言葉に打たれた芝木は、初めて啓と真正面から向き合い、すべてを告白する。
 そんな2人を残して取調室を出る右京と薫。後ろ髪を引かれるように振り向きながら、2人は廊下を歩いていくのだった。

ゲスト:相島一之 深沢敦

脚本:戸田山雅司
監督:橋本一