2007年2月14日(水)9:00〜9:54pm第17話「女王の宮殿」

 伊丹(川原和久)の嫌がらせで、山中に置いてけぼりにされてしまった右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)。近くにあったファッション界の女王・モナミ(大空眞弓)の屋敷で雨宿りをさせてもらいつつ、偶然開かれていたパーティーに出席する。
 2色の十二星座を模したグラスマーカーがついたグラスを手に会場を見回すと、モナミの娘たちなど出席者の誰もが金のためモナミのご機嫌をとっている。そんな中、右京と薫はモナミの孫タケル(中村咲哉)から逃げたペットのハムスターの捜索を頼まれる。屋敷を探しているうち、出席者たちの腹黒い狙いを垣間見る右京と薫。しかし、肝心のハムスターはさっぱり見つからない。

 右京と薫は客の一人で画商の服部(下元史朗)から今は亡きモナミの夫が買い集めた絵画のコレクション…一条コレクションについて話を聞く。今も大量の絵が屋敷にあるらしいが、モナミが秘密の保管庫にしまってしまい、今は見ることができないという。
 キャビアを食べた右京と薫はその味のひどさにびっくり。そんなキャビアや使用人の少なさ、執事がスコッチの瓶を移し替えていたことなどから、右京はパーティーが安物の虚飾の宴であると見破ってしまう。モナミもこっそり事実を認めると、いくら女王のご機嫌をとっても寄付する金も、独立を援助する資金も出せない、滑稽だと自嘲した笑みを浮かべる。

 ハムスターを遊戯室で探していた右京は、ダーツの得点ボードに目を留める。「W」、「H」、「K」…。「W」は男性モデルの和田(加藤仁志)、「H」は画商の服部に違いない。となると「K」は?服部に確認すると、モナミの遠縁で高校で教鞭をとっていた「加藤」という男だという。ふと見るとタケルの父・行長(長棟嘉道)が腕時計をなくしたと騒いでいる。そういえば服部も高級ライターをなくしたと言っていた。右京はそんなささいな騒ぎに敏感に反応。パーティーに出席している人たちの人数が合わないと言い出す。

 パーティーの出席者を集めて人数合わせをする右京。出席者は右京と薫、そしてモナミを除くと全部で19人。一人ひとり素性を確認すると、18人まで確認できたが、テレビ局のプロデューサー、モナミの遠縁の「加藤」、かつて一条に世話になったホテルの支配人の3人が確認できない。つまり、一人で3人の人物を演じている男が浮かびあがった。右京らにグラスを渡しながら「山本」と名乗った男だった。実は「山本」は棟方という窃盗の常習犯。服部のライター、行長の腕時計も彼が盗んでいた。

 2色の12星座のマークがついたグラスは全部で24個。その引き算から主席者は19人と判断した右京のお手柄だった。そのときタケルが現れると、コップでジュースを飲み始めた。それを見た自らの失態に気づく。19個のグラスを使う客の一人にタケルも入れてしまっていたのだ。ということは、もう一人見知らぬ客がいることになる。

 右京らは止まっていた謎の車から、恐喝の前科があるフリーライターが来ていることを突き止める。さらに料理人がモナミから炭焼きの料理を用意しろと言われたことから、モナミがフリーライターの男を保管庫に閉じこめ、一酸化炭素中毒で殺害しようとしていると察知。右京はモナミを説得、保管庫の場所を突き止め男を救うと、同じ保管庫に隠れていたハムスターも保護する。

 保管庫にあった絵画を売りながらやりくりしていたことで恐喝してきた男を殺害しようとしたモナミ。パーティーも右京らを誘ったのも、すべてアリバイを作るためだった。右京のセンスの良さ、明晰な頭脳が死んだ一条にそっくりだというモナミ。
「生まれて初めて人を殺そうとした日に、主人によく似たあなたが現れて、それを止めてくれた」。
 モナミはそう言うと、右京と腕を組んで連行されていった。

ゲスト:大空眞弓

脚本:戸田山雅司
監督:和泉聖治