2007年1月31日(水)9:00〜9:54pm第15話「裏切者」

 専業主婦の久美子(奥田由美)が何者かに射殺された。鑑識の米沢(六角精児)によると、凶器はモデルガンの改造銃。銃弾の形などからかなりのマニアではないか、という。
 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は過去の改造モデルガンによる発砲事件を調べ直し、マニアと思われる岩崎(宮崎吐夢)という男をピックアップ。当時岩崎を送検した池波署を訪ねる。
 その池波署の組織犯罪対策課には、かつて薫の教育係だった北村課長(金田明夫)がいた。再会を喜び合った後、北村から事件の説明を受ける2人。岩崎は改造モデルガンで猫を撃ち、器物損壊で逮捕されたという。逮捕の決め手となったのは女性の目撃証言だが、実は久美子が目撃者で今回の事件は岩崎の逆恨み?しかし調書によると、目撃者は久美子ではないという。

 右京と薫が岩崎に会いに行くと、岩崎は右京の質問に逃亡。薫に拘束されると、取り調べで犯行を自供する。動機はやはり猫を撃った件を久美子に訴えられたから。しかし、久美子は目撃者ではない。岩崎はなぜ久美子が目撃者だと判断したのか?
 岩崎の部屋でパソコンを調べていた米沢は、岩崎が池波署の捜査データをハッキングしていたことをつかむ。そのデータには、久美子に捜査協力費として謝礼が支払われていた記録があった。

 改めて右京らが北村に事情を聞くと、岩崎逮捕の際、偶然通りかかった久美子が逃げる岩崎と衝突。久美子ともみ合っているところを拘束したのだという。それで捜査協力費が支払われたのか。右京と薫はその調書を預かって帰るが、なぜか北村は激しく動揺して…。

 調書の久美子の筆跡が、久美子の財布にあったポイントカードの筆跡と違うように見える。疑問を感じた右京は、米沢に筆跡鑑定と指紋の照合を依頼する。

 そのころ上層部では、不正アクセスを岩崎の送検事由から外すという決定が出されていた。不穏な動きに伊丹(川原和久)ら捜査一課、角田(山西惇)ら組対5課は緊張する。
 さらに右京が依頼した筆跡鑑定、指紋の照合が上層部の圧力で止められた。結果は出せないが、米沢の目には調書の指紋とポイントカードの指紋は違って見える。無念さを抱えた米沢からの報告で右京をすべてを悟った。

 薫が北村から調書の返却を求められる中、右京は小野田(岸部一徳)から呼び出される。池波署は久美子をニセの捜査協力者に仕立て上げ、謝礼を支払ったことにして捜査費を流用。そんな偽装を知らない岩崎は、事件とは無関係の久美子を射殺したわけだ。右京はその事実を告発するというが、小野田は例によってのらりくらりと説得。しかし右京は頑として態度を変えない。

 結局、岩崎は不正アクセスを事由から外したまま送検されることになった。右京は不正があった久美子の調書と捜査費データの資料を担当検事に直接手渡すという。となると、恩人でも北村が検察の取り調べを受けることになる。逡巡する薫はこっそり北村に連絡を入れる。

 大河内監察官(神保悟志)からも圧力をかけられる右京。そのころ調書を手に北村を待っていた薫は北村の部下に襲われ、激しい暴行を受けた末、調書を奪われてしまう。
 重傷で入院した薫を見舞う右京。そこに北村が現れた。右京と美和子(鈴木砂羽)を部屋から出し、1対1で説得する薫。北村は涙を流し、ついに…。

 池波署が捜査費を裏金化した事実が明るみに出た。それでも捜査調書のねつ造は久美子の証言がないから、と小野田らは闇に葬ろうとする。しかし、右京は襲われた薫のジャンパーに残っていた暴漢の指紋と調書の久美子の指紋を照合すると主張。久美子の遺族が指紋照合のために、本物の調書の情報開示請求を出すだろうという。情報開示請求を出されては警察庁長官に傷がつく。小野田らはねつ造した捜査調書で久美子が殺されたことも認め、北村らの処分で済ませることを選択する。

 退院した薫を迎えた右京。そこに小野田が現れ礼を言うが、右京らは何も言わず去って行く。2人を見送る小野田は美和子につぶやいた。
「特命係は杉下が動かしているとばかり思ってました。しかし、実は君の旦那様だったんだねえ。亀山、薫君…」。

ゲスト:金田明夫

脚本:櫻井武晴
監督:長谷部安春