2007年1月10日(水)9:00〜9:54pm第12話「狼の行方」

 雄一(三村和敬)と亮司(井桁雅貴)という2人の少年が何者かに誘拐された。が、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は粗大ゴミ置き場で眠る2人を偶然発見する。雄一らによると、見知らぬ男にゴミ置き場の中に閉じこめられたというが、犯人像が今一つはっきりしない。伊丹(川原和久)ら捜査一課は、現場周辺をうろついていた不審者・神崎(木下ほうか)を拘束する。雄一らも神崎が犯人と証言するが、神崎は黙秘。物的証拠もなく釈放する。
 それでも神崎をマークしていた伊丹らは、神崎が美紀(菊池麻衣子)という元カノに無理やり言い寄ったところを別件で逮捕する。
 右京と薫は美紀から事情を聞くが、神崎のストーカー行為に悩まされていた美紀は、誘拐事件があった当日、神崎を呼び出して抗議していたという。ということは神崎のアリバイが実証され、神崎は無実ということになるが…。

 となると、誘拐犯は誰なのか?右京は粗大ゴミ置き場の扉のレバーに雄一らの指紋しか残っていなかったこと、扉が手を離すと自然に閉まることから、いたずらしていた雄一らが勝手に閉じこめられたものと断定。雄一らも素直に認める。
 亀山は少年たちを諭すと、彼らから頼まれたこともあり、後日いっしょに神崎に詫びに行くことにする。
 一方、容疑が晴れた神崎は、改めて美紀を訪ねるが、美紀が心変わりするはずがない。盗撮した美紀の写真で埋め尽くされた部屋で一人たたずむ神崎。どうしてもかなわぬ思いに、やがて嗚咽を始めて…。
 翌朝、神崎はイメージを大切にする会社から解雇を言い渡される。美紀への思いも届かず、会社までクビになってしまった神崎。すべてを失い、ある決意を固める。

 美紀のもとに神崎から自殺をほのめかす手紙が届けられた。相談を受けた右京が「遺書」と書かれた手紙を確認すると、雄一らを道連れに自殺するという。今日は薫が雄一らと神崎を尋ねることになっている。右京は待ちぼうけを食っている薫に連絡、2人の身に危険が迫っていることを知らせる。

 そのころ雄一らは神崎の執拗な追跡から逃げ回っていた。携帯で母に電話をしても信じてもらえない2人。ついには神崎に捕まってしまい…。

 一方、右京らは手紙から神崎は雄一らが住む団地内にいると推理。連絡を受けた薫は、冬の間は使われていないプールがあることを突き止め急行する。
 そのころプールの更衣室では神崎は少年2人を縛り上げ、灯油をまくと、火を放とうとしていた。「ごめんなさい」とあやまりながら泣き出す子供たちを前に、「お前たちのせいだ」とライターを点火する神崎。
 あわやというところに薫が飛び込むと、隙をついてライターを取り上げ事無きを得る。

 命を救ってくれた薫に感謝する少年たちに、右京はやさしく反省を促した。
「君たちがついた嘘で、あの人を本物の犯罪者にしてしまった。そのことをよく覚えておいて下さい」。
 素直にうなずく少年たちの顔は、ちょっぴり大人びて見えた。

ゲスト:菊池麻衣子 木下ほうか

脚本:吉本聡子
監督:長谷部安春