2006年11月8日(水) 9:00〜9:54pm第5話「悪魔への復讐殺人」

 行きずりの女性を次々と殺害、片方の耳からピアスを奪うという事件を起こした安斉(高橋一生)が何者かに殺害された。快楽殺人者・村木のカウンセリングを担当していた美咲(奥貫薫)の助手をしているうちに、村木が抱える闇に飲まれ自らも殺人者となってしまった安斉。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)の手によって逮捕されたが、鑑定の結果「刑事責任能力なし」となり不起訴に。世論の批判を浴びた検察は安斉を指定医療機関に強制入院させたが、最近退院が検討され、外出訓練をしていた矢先の事件だった。
 安斉の遺体のそばには外出訓練に付き添っていたナースの真帆(石橋けい)も傷つき倒れていた。どうやら犯人は安斉が外出訓練をする時間を狙っていたらしい。

 安斉に娘を殺された父親の末次(竹本純平)が自首してきた。しかし、その証言は支離滅裂。自白の信憑性は曖昧だ。
 右京と薫は真帆から事情を聞くが、犯人の顔は見ていないという。真帆から外出訓練の予定を聞いた末次が安斉を殺害した、という可能性はないだろうか。しかし、真帆と末次の接点はどこにもない。

 そんな右京らは、安斉の担当医に会いに来たという美咲と再会する。実は美咲は末次の担当医だった。たった一人の娘を殺され、心のバランスを崩した末次は、安斉がどういう男なのか知りたい、と美咲に訴えてきたらしい。その切羽詰った状況に美咲は、助手の安斉の犯罪志向に気づかなかった自分の責任を感じたという。

 末次の鑑定の結果、責任能力なしとして不起訴処分になる可能性が高くなった。どうやら美咲が提出した末次の診療記録が決め手になったらしい。美咲は安斉の犯罪に責任を感じていた。ということは、末次を責任能力なしにしたかった?しかし、問題は末次が外出訓練の予定を誰から知ったか、ということになる…。

 美咲が安斉の外出訓練の予定を知っていたことがわかった。ということは、末次は美咲から予定を?しかし、美咲は外出訓練の予定を教えたかという右京らの質問に「まさか」と小さく笑う。

 同じ事件を追っていた美和子(鈴木砂羽)が、退院して京都の実家に戻った真帆に会いに行くという。薫からそんな話を聞いた右京は色めき立つ。確か真帆は去年まで関西の系列病院で訪問看護の仕事をしていた。京都へ急行した右京らは、真帆が訪問していた患者の中に娘を安斉に殺された「牧百合江(志水季里子)」の名を見つける。

 やはり右京らの読みどおり、真帆が百合江に安斉の情報を漏らしていた。入院後、自分の罪を悔やんでいた安斉の様子を伝えれば、百合江の力になるのでは?しかし、百合江はその情報をもとに安斉を殺害してしまった。真帆の思いが仇になってしまったわけだ。

 やはりすべて自分の責任という美咲に、真帆は安斉が自分のせいで一人残された百合江を誰よりも心にかけていた事実を伝える。
「安斉さんは優しい人でした」。
 真剣に語る真帆の言葉に心動かされた美咲は、右京の励ましもあり、医師を続けることにする。
「もう二度とこんな事件は起さない。そういう気持ちで、続けることはできないんですか?」。

ゲスト:奥貫薫 高橋一生 石橋けい 竹本純平

脚本:櫻井武晴
監督:和泉聖治