2006年10月11日(水) 8:00〜9:54pm(2時間スペシャル)第1話「杉下右京 最初の事件」 |
ミリタリーマニアに襲撃され、殺害されたホームレスの所持品の中から恩賜の懐中時計が見つかった。右京(水谷豊)は22年前、旧伯爵家・御手洗邸で発生した強盗殺人事件で恩賜の懐中時計が盗難品として届けられていたことを思い出す。強盗は御手洗家の長男・晃一(佐藤 一平)を殺害して逃亡。事件はそのまま時効となっていた。右京は今回見つかった懐中時計を手に御手洗家へ。認知症を患っている晃一の母・嘉代(馬渕晴子)に時計を見せると、以前書生をしていた里中(横田エイジ)に父があげたものだという。ということは殺されたホームレスは里中なのか?右京は晃一の妻・律子(平淑江)から里中の写真を借りるが、律子は「もう時効だから」と22年前の事件に触れられることをなぜか嫌がる。
被害者は御手洗家の元書生・里中だった。右京と薫(寺脇康文)は御手洗家を訪ね、里中にあげた恩賜の懐中時計をなぜ盗まれたと証言したのか、晃一の父・泰彦(神山繁)に確認する。当時は混乱していたから、と言う泰彦だがどこか歯切れが悪い。事件当時は5歳で今は次期首相候補の宗家(勝野洋)のもとで秘書をしている聖子(奥菜恵)も事件に興味があるようだ。そのとき右京らを刑事と聞いた嘉代が取り乱し、犯人は勝手口から逃げたと言い出した。確か証言では玄関からだと…。すると嘉代は泰彦に注意され「本当は知らないの」と突然取り乱す。「知らない」とはどういう意味なのか?
薫から話を聞いた妻の美和子(鈴木砂羽)は、それとなく嘉代に近づきこっそりと取材。嘉代は長男が殺されたことを告げると、なんと「でもね、死んだ方が良かったの」と意外なことを口にする。事件当時は皆が悲しんでいたようだが「死んだ方が良かった」とは?
と、そんな右京らに聖子が事件について知りたいと連絡してきた。
誰かを庇うために強盗事件という筋書きをでっち上げたのではないか。右京は聖子に自らの考えを明かす。聖子も祖母の嘉代に真実が知りたいと迫るが、母の律子にきつく止められてしまう。翌朝早く、嘉代が変死体で発見された。右京が他殺の可能性が高いと指摘すると、泰彦が自首してきた。認知症の妻が不憫だったからだというが、本当にそれだけか。
聖子をたった一通の手紙で秘書にした宗家に疑問を抱いた右京らは、宗家がかつて御手洗家の書生だったことを知る。だから聖子を雇ったのか。右京らは宗家にも22年前の事件について話すが…。
嘉代の葬儀にやってきた宗家をつかまえた右京らは、22年前の事件当日、宗家も御手洗家にいたのではないか、と疑問をぶつける。聖子が童話を読んで寝かしつけてくれたことを思い出したからだ。が、律子はあれは里中だったと否定。聖子の記憶も曖昧になっていく。右京はそんな聖子に殺された父・晃一に童話を読んでもらったことはないか、と聞くが、聖子にはそんな記憶はないという。右京はなぜそんなことを聞いたのか?
右京と薫は拘置所の泰彦から呼び出され、22年前に晃一を殺したのも自分だと告白される。すぐに暴力を振るう晃一にカッとなり、もみ合いからナイフで刺してしまったという。しかし、右京は泰彦が誰かを庇っているとしか思えない。右京は宗家が犯人ではないか、とにらんでいるようだ。しかし、永田町でも人格者と評判の宗家が殺人など…。そんな宗家のもとに律子から会いたいという電報が舞い込んだ。宗家は予定をキャンセル、待ち合わせ場所へと出かけていく。
電報は宗家と律子を呼び出すために右京らが出したものだった。聖子とともに現れた右京と薫は事件の謎解きを始める。聖子も父から性的虐待を受けていた事実を思い出していた。当時、そのことに激昂した宗家が晃一を殺害、晃一の行為に手を焼いていた泰彦らが22年間宗家を庇っていたのだった。潔く罪を認める宗家、海外生活があり時効は成立しないこともわかった。必死で庇おうとする律子だが、宗家は背負ってきた重い十字架を下ろしたいという。そんな宗家に右京は聖子に実の父と名乗るべきでは?と勧める。宗家の聖子を思う気持ちの強さに、右京は父親の愛情を感じていたのだった。
宗家は逮捕されたが聖子も政治家を目指して頑張ると右京らに誓う。“父”宗家のような立派な政治家になりたいと…。
ゲスト: 奥菜恵、平淑恵、神山繁、勝野洋 ほか
脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治