2006年3月15日(水) 20:00〜21:48
最終回 2時間スペシャル
第21話 「桜田門内の変」
 ビルの屋上。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が、連続殺人犯を追いつめている。年貢の納め時が来たと犯人が観念したその時、右京たちの背後で声が上がる。「特命係の亀山〜!」。いつもの台詞だが声が違う。が驚いて振り向くと、そこには捜査一課・四係の係長、轟木一郎太(小倉久寛)とその部下たちが立っていた。「こんな感じでいいの?」と軽く問う轟木に、は答えるすべもなく、捜査を引き継いで現場を後にするのだった。
 容姿の冴えない、バツイチで中年の轟木の取り調べはユニークそのもの。今日も、ニンニクを大食いして、部下たちもうんざりするほどのため息やゲップを吐き、連続殺人犯に迫っている。たまらず落ちる犯人。品はないが優秀らしい。
 その日、轟木は監察官の韮崎ひばり(田中美里)から呼び出しを受ける。轟木が趣味で吹くトランペットがうるさいと、苦情が寄せられているのだ。そんな処理まで引き受けるとは、監察も大変だとねぎらう轟木。だが、改心した様子もなく、逆にひばりに頼み事をして出ていってしまう。ポケットに入れたまま、つい提出し忘れていた連続殺人犯の所持品を、自分に代って鑑識に持って行ってほしいというのだ。しかも、その所持品は、犯人が自殺用にと小ビンに入れて携帯していた青酸カリだというのだから、この男、やはり普通じゃない。
 同じころ、留置所の看守、泰良哲郎(永堀剛敏)は、収監された件の殺人犯から、やはり自殺用にと奥歯の細工に潜ませていた青酸カリを手渡されていた。それをじっと見つめる泰良…。
 その夜、にはうれしい出来事が待っていた。エジプトに赴任中の恋人、奥寺美和子(鈴木砂羽)が一時帰国したのだ。美和子の赴任前、彼女に婚姻届を渡していた。書き込みが必要なのは、美和子の名前と印鑑だけ。答え保留のまま飛び立った美和子の返事を、は期待していた。『花の里』で落ち合い、の部屋に帰宅する2人。ところが玄関には女物の靴があり…!
 翌日、警視庁は朝から騒然となる。庁舎内で青酸カリによる毒殺事件が2件同時に発生したのだ。被害者の一人は、轟木の部下の山田亨(草野康太)。そしてもう一人は、轟木の同期で警視庁音楽隊員の綿貫甚八だ。無差別テロか? 事件を嗅ぎ付けたマスコミが騒ぎ出す。しかし、山田は轟木から返されたタバコを、綿貫は轟木と交換したトランペットを口にした直後に倒れたことが分かり、犯行は轟木個人を狙った怨恨の可能性が高いということになる。
 そんな中、右京たちは、看守の泰良が青酸カリを所有していた情報を入手。事件直後にいなくなったという泰良の居場所を、2人はすぐに突き止め事情を聞く。泰良はあっさり自供。しかし、毒を仕込んだのはタバコでもトランペットでもなく、お菓子だという。すぐに鑑識に報告する。自供通り青酸は検出されるが、時すでに遅し。知らずに食べた轟木の部下、一ツ橋明男(高橋和也)が3人目の犠牲者として死亡していた…。
 分析の結果、3件とも同様の青酸カリが使用されたと判明。しかし、泰良が入手した青酸カリは極わずか。供述通り、タバコやトランペットに仕込んだのは別の人物だろう。押収した毒物に触れられたのは、四係の刑事全員と監察の韮崎ひばり。だが不思議なことに、ビンに残っていて当然のひばりたちの指紋は、一つも検出されなかった。これは何を意味するのか? そして、たちの恋の行方は…?