2006年3月1日(水)
第19話 「ついてない女」
 「さようなら、ついてない私…」。白いコートを着て銃を構える月本幸子(鈴木杏樹)。しかし、銃口は幸子自身にではなく、暴力団の大物、向島茂(正城慎太郎)に向けられていた。夫の死後、借金と病気に苦しんだ幸子は、茂の愛人となることで生きながらえてきた。だが実は、茂こそが夫を殺害した張本人。それを知った幸子は、茂の殺害計画を周到に準備。実行後は、手配済みの偽造パスポートを国外で入手し、別人となって新しい人生を始めるつもりだ。“幸子”とは名ばかりで、幸せとは縁遠かった女を自らの手で葬るため、幸子は引き金に力を込める…。
 空港へ向かう幸子。しかし、運転する外車が途中で故障。途方に暮れていると、通りすがった1台の車から降りてきた男性2人組が、空港まで送ってくれるという。「私、ついていますね」。しかしその車、実は警察車両。男性2人組は特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)だったのだ。いざとなったら、サイレン回してでも飛行機に間に合わせるというの言葉に、幸子は動揺する。その様子を見ていた右京は、「ユニークなコーディネイトですね」と、幸子の服装について何気なく質問をする。幸子は、前出の白いコートではなく、スポーツチームのベンチコートをおしゃれなブランド服の上から羽織っていた。一刻も早く2人から離れたい幸子は、「気に入っているし、暖かいから」と適当に答え、空港には新宿からリムジンバスで向かうと言って、車を降りていった。
 その足で新しいコートを買いに行く幸子。ベンチコートはバスターミナルに置き捨て、これで本当にさようならだ。が、閉まりかけたリムジンバスに、「忘れ物」だとベンチコートを持って右京が乗り込んでくる。驚く幸子。右京はすでに、幸子から犯罪のにおいを嗅ぎ取っていたのだ。そんな2人を乗せて、バスは空港へ向けて走り出す。
 そのころは、幸子がどんな犯罪に絡んでいるのかを必死に調べていた。故障した外車のナンバーから幸子の身元を照合したは、幸子が家財道具もそのままにマンションの契約を解除していたことや、夫が暴力団絡みで捜査対象にあげられていたこと、そして不可解な自殺を遂げていたことを突き止める。また、ベンチコートのデザインからあるサッカーチームにたどり着いたは、いつもは反目し合っている捜査一課の力を借り、膨大なチーム登録者の中から、ついに向島の名前を見つけ出す。しかし、暴力団の大物の隠れ家など、簡単に分かるはずが無い。幸子のフライトの時間は、刻一刻と迫ってくる。幸子の逃亡が先か、それとも向島の発見が先か。最後に“ついている”のはどっちだ!?