2006年2月8日(水)
第16話 「天才の系譜」
 特命係の亀山薫(寺脇康文)はある夜、モデル風の若い女性と腕を組んで、高級ホテルから出てくる杉下右京(水谷豊)を目撃。反射的に物陰に隠れたは、右京がその女性との別れ際、現金を渡しハグする瞬間を見てしまう。
 翌日、特命係のテレビは、朝方、海岸で発見された女性の腐乱死体に関する報道番組を映し出している。その中でデスクワークを続けている右京。だが、実際のところは、昨晩のことが気になって仕事が手に付かずにいる。「右京さん」「なんですか?」「…いや、なんでもないっす…」「そうですか」。朝から何度も繰り返されている会話に、結局、痺れを切らしたのはの方。思わず、「気にならないんですか」と、右京を責めてしまう。それでも平然としている右京。ついに白旗を上げたは、昨晩の目撃談を右京に告げる。その時、右京の携帯電話に渦中の女性から連絡が。今夜も会う約束をしていると知ったは、警察官らしく、金銭の授受で関係を持つのは感心しないと右京をいさめる。だが右京は意に介さず、今晩、にその女性を紹介するという。
 夕方、花の里。右京、そして女性がカウンターに座っている。女性の名は“杉下花”(原沙知絵)。ニューヨーク在住のフォトグラファーで、実は右京の姪。東京の下町を撮って話題になった写真集の第二弾を制作するため、数年ぶりに来日したのだという。ただのタクシー代を早とちりしたの一人ドタバタ劇も、これにて一件落着。
 だが後日、この花がとんでもない推理を携えて特命係にやってくる。先日、海岸で発見された腐乱死体の身元と犯人が分かったというのだ。
 花は、取材で柳橋界隈を訪れた際、見事に手入れされているのに、ここ何日間か水があげられていない様子の花壇を目撃。訳を家主である二ノ宮純平(櫻庭博道)に尋ねると、妻・小夜子(奈良アまどか)が一週間前から実家に帰っているからとの答えが返ってくる。しかし、玄関の状差しには、小夜子の実家から小夜子宛に届いた数日前のはがきが。純平は花に嘘をついたのだ。右京並の観察力を誇る花は、続いて、前回の写真集で世話になった町内会長の金田昭一郎(不破万作)に、二ノ宮夫妻の情報を聞き込みに行く。すると、毎晩、近所中に聞こえるほど派手に行われていた二ノ宮家の夫婦げんかが、特にひどかった一週間前を最後にパッタリ聞かれなくなり、小夜子の姿も見かけなくなったと判明する。腐乱死体の死後経過は、ちょうど一週間。「明日にでも家宅捜索をするべきです」。断言する花。しかし右京は、花の推理など幼稚な妄想に過ぎないと切り捨てる。憤慨する花と譲歩しない右京…。
 翌日、花の推理に妙な説得力を感じているを伴い、右京は再び二ノ宮家を訪れる。理由はあくまでも、花の推理が根も葉もないと証明するため。さもないと花は、今以上に無謀な行動をとりかねないと、右京は心配しているのだ。だが、その心配も及ばず、二ノ宮家に到着した2人は、警察に連行される花を目撃することに!