標本は無事。だが、助手の小西美紗緒(板谷由夏)は、宮本教授の悠長な態度が心配でならない。するとそこへ、あの染井が300万円を持って訪ねてくる。ミヤモトアゲハを売ってくれというのだ。教授にその気はまったくないのだが、染井は連日のように現れるという。「あきらめませんよ…いつか必ず…」と、ぶつぶつ言いながら去って行く染井。
野口宅から盗まれた標本は、かつてオークションにかけられていた。300万円で落札したのが野口。競り負けた相手は染井だ。その後、染井はどうにか金を工面し、幾度となく野口の家を訪れたという。しかし、野口が標本を売ることはなかった。その無念さが、染井を動かしていた。「蝶を手に入れるためなら、どんなこともする…」。
その夜、城南大学に再び染井が現れる。美紗緒を捕まえて標本を売ってくれと迫る染井。札束はさらに増え500万円。実家の掛け軸を売ったという染井の狂気に、美紗緒は恐怖を感じ、逃げるように大学を後にするのだった。
あくる日、大学の研究室で宮本教授の他殺体が発見される。標本も見当たらない。当然、染井は重要参考人として聴取を受けるのだが、「天罰ですよ」と笑うばかり。「あの蝶を自分のものにする資格があるのは、この世でただ一人、僕だけなんだ…」。 |