2005年11月16日(水) 夜9時
第6話 「殺人ヒーター」
 捜査一課は怨恨の線で犯人の割り出しに掛かるが、思わしい成果が上がってこない。手詰まりの捜一に右京は、被害にあった会社の従業員になれなかった人物を調べるよう助言する。大きなヒントに思わず顔色を変える捜一の面々。それでも、特命係が捜査の一員に加えられることはないのだが…。
 夜。特命係。杉下右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)が、炭化した紙片を一枚一枚調べている。企業連続放火事件の遺留品整理を、捜査一課に押し付けられているのだ。「早く終わりにして帰りましょう」。だが2人の願いは叶わない。その夜、次の放火事件が発生してしまうのだ。
 これで事件は6件。今回も含め3件で死者が出ている。6件目の現場は『ヨツバ電気』本社。労働組合事務所にいた組合長・小柳津桐子(辻沢杏子)が被害者となった。一連の放火の手口は、現場にあるストーブやヒーターを使って出火させていること。今回もまた、ヒーターが火元となっていた。現場に到着した右京たちは、捜査一課に揶揄されながら、焼け残り品を採取。そこで右京は、使われないままヒーターの横に置かれていた消化器に、不自然さを感じるのだった。
 捜査の結果、6件中2件の会社で不採用になった黒川英明(村杉蝉之介)という男が浮上してくる。一流大学出身で国家資格を持ち、履歴書からだけでもプライドの高さがうかがい知れる男だ。
 桐子の死因は窒息死。遺体の損傷が激しく、煙を吸い込んだためとは断定されなかった。そこで右京は、絞殺の可能性もあるとみて別方面から捜査に乗り出す。出火前に桐子が殺されていたとすれば、使われなかった消化器の謎も解ける。さっそくヨツバ電気に赴いた2人は、桐子が社内で相当恨みをかっていたことを知る。「小柳津(こやなつ)は嫌なやつ」。社員はそう言って、桐子を中傷していた。理由は、桐子がふりかざす“正義感”にあったらしい。桐子の組合長としての働きは度を超え、自社製品へのクレームにまで発展していたという。その結果、降格を余儀なくされた社員もいた。その一人、恩田義男(嶋田久作)。桐子は恩田が設計した製品の欠陥を指摘し、製造ラインを止めて全品検査をしない限り、業界紙に告発すると言い張ったらしい。自社を脅迫する女。恩田の目に桐子はそう映った。右京たちを前にしても、桐子への恨みをまったく隠さない恩田…。
 その夜、とある事務所に忍び込む男がいた。黒川だ。不採用になった腹いせに、またしても放火を企てたのだ。だが今回は、黒川の動きを張っていた捜査一課により、あえなく御用。取り調べでも「バカは死ねばいい」と、“優秀な”自分を不採用にした会社に対する犯行をあっさりと認める。しかし、死者が出た3件については犯行を否認。罪が重くなることを恐れての供述か?
 それを知った右京たちは、黒川が否認した3件に、死者が出た以外に共通点がないかを調べ直す。すると、どれも同じコードレスヒーターが出火原因だったことが分かる。製造元はヨツバ電気。設計者はあの恩田だ…。