ピアニストを殺害した調律師。
右京らの巧みな捜査に追いつめられた彼は・・・。

2月23日(水)
第15話 「殺しのピアノ」



 深夜のコンサートホール。調律師の幸田(吹越満)が、舞台の上で有名ピアニストの柴(京晋佑)をチューニングハンマーで殺害した。ピアノに散った血痕を拭き取り、守衛が居眠りする守衛室を避け、エントランスから外へ出ると遺体を柴の自宅近くへと運び・・・。
 翌朝、柴の遺体が自宅近くの崖下から発見された。別居中の妻・悦子(矢代朝子)の話によると、柴が深夜に散歩することはよくあること。事件当夜も深夜1時に柴の携帯から電話があったという。
 崖からの転落死かと思われたが、珍しい凶器による傷が発見されたことから他殺と断定。捜査会議では柴が携帯電話をかけたことが話題に出るが、その携帯電話が見つからないらしい。と、そこまで話が及ぶと、右京水谷豊)は部屋を出て・・・。
 右京は事件現場へ行ったに違いない。寺脇康文)がコンサートホールへ行くと、ちょうど柴の代役が決まったところ。その準備に追われ支配人の岩槻(大林丈史)から相手にしてもらえない。その岩槻が幸田にピアノの調律を改めて指示していたその時、ステージからピアノの音が。右京だった。
 新たな奏者のためにピアノ調律し直すという幸田に、見学したいという右京だが、須お越しの雑音でも気になるからと断られる。そんな右京に対して幸田は、事件当夜コンサートホールにいたが、朝の4時まで一人で柴用に調律していたという。明らかに幸田を疑っている右京に、はホールを出てから確かめると、なぜ朝の4時に調律が終わってから今まで帰らずにいたのか。まるで代役が決まり、調律し直すことがわかっていたかのように・・・、と疑問を口にする。
 岩槻によると、幸田に調律を任せたのは柴ではなく、岩槻だという。業界では腕がいいと有名な幸田を岩槻はホールの専属チューナーに招いていた。
 一人調律を始めている幸田の前に現れた右京は、興味深そうに幸田の仕事ぶりを見学すると、矢継ぎ早に質問を浴びせる。が、すべて調律に関するものばかり。そんな右京のノラリクラリとする質問に苛立ちを覚えた幸田は、次第に追いつめられていく。
 別れ際、どうしてもピアノが弾きたい、という右京は、幸田に事情を話しピアノを弾かせてもらうことに。が、幸田は右京の演奏を半ば強引にやめさせる。鍵盤側面の木目に血痕が残っていたのを見つけたためだ。幸田のあまりの剣幕に驚くと岩槻。右京は仕方なくとともにホールを出るが、実は血痕があることは知っていた。すべては幸田の動揺を誘うためで・・・。
 一人になった幸田は懸命に血痕を拭き取ると、いよいよ調律を始める。が、そこへが現れると、何をするでもなく客席を歩き回り始めた。目的も聞いても答えないに苛立ちを募らせる幸田。ふと見ると、客席に携帯電話がある。きっとなくなったという柴の携帯電話だ。あれがここにあることがわかっては自分が犯人だとわかってしまう。幸田はに悟られないように携帯に近づくと、なんとか先に確保することに成功する。と、そこへ右京が現れると、なんと自分の携帯電話を探していたという。仕方なく隠していた携帯電話を差し出す幸田。試されていることを知り、唇をかむ。
 仕掛けた罠に幸田がかかったことに喜ぶ右京。鑑識の米沢六角精児)を呼び寄せるとルミノール反応を調べ、一気に自供へと追い込もうとするが・・・。