女流作家の夫の自殺に不審な点が!?
右京は作家と女性編集者の関係に疑いを抱き…。


1月12日(水)
第10話 「ゴースト」



 ある日、右京水谷豊)はふと立ち寄った書店で女性から広い支持を集めている女流作家・沢村映子(筒井真理子)のサイン会に巻き込まれてしまう。丁寧に説明したはずなのに、名前を右京ではなく左京と書かれてしまう。小さく溜息をついていると、映子の担当らしい編集者が何やら話している声が聞こえてくる。
「先生、今日は輝いているわねえ」。
「スポットライトが好きな人だから」。
 輝いている、と言った女性に対し、男性の言葉はどこかトゲがあるように聞こえたが…。
 映子の夫・三原健夫(西ノ園達大)が自殺した。新聞記事を見た右京は健夫がサイン会のときにいた男性だと確認。しかも、そのサイン会で買った本「愛の果て」は恋人に自殺された女性を描いたものだ。
 2日後、とある女性誌に映子の手記が掲載された。右京は健夫の遺書にあった「出逢う」という言葉に目を留める。映子の小説では「出合う」が使われているが、健夫の遺書、そして映子の著書で「第三の女」だけが「出逢う」を使っている。その「第三の女」はまるで違う人物が書いたのでは、と思わせるほど、他の作品に比べ魅力がない。さらに本来なら「召し上がって」と使うはずの敬語も「いただいて」と間違っている。この一致は何を意味するのか…。
 右京寺脇康文)を伴い、再びファンを装って映子に接近する。そこで右京は思い切って「第三の女」は健夫さんが書いたのでは?と映子に聞く。映子の担当編集者でサイン会のときに健夫と一緒にいた育恵(春木みさよ)はカンカン。映子も軽くあしらいつつ否定するが、右京らにケーキをすすめるとき、「遠慮なくいただいて」という言葉を使う。
 映子が「第三の女」に見られた文法的な間違いを犯した。ということは、「第三の女」を書いたのが映子だったのではないか。右京らは映子のデビュー前の作品を調べ、その中で「出逢う」という言葉が使われていることをつかむ。デビュー前の作品は映子が書いたことは間違いない。映子が書いたのは「第三の女」だけで、それ以外はゴーストライターが書いたのではないか。さらに遺書も映子が…。だとしたら、偽装自殺ということになるが。
右京らは出版社の高木社長(片岡弘貢)から、映子が健夫を見初めて結婚したことを知らされる。ここでも右京は「第三の女」以外はゴーストライターが書いたのでは、とぶつけてみるが、高木は強硬に否定。逆タマに乗った健夫がそんなことをする必要がない、という。また、育恵は映子のデビューから担当編集者として仕事をしてきたが、なぜか「第三の女」のときだけ、映子の指名で健夫が担当になったという。
 右京は今度は刑事として映子と接触。アリバイを聞くなど映子を追いつめるような質問をするが、駆けつけた育恵が懸命に映子を守る。そんな2人の胸には同じようなネックレスが…。
 数日後、右京は書店で映子の本を並べる育恵を訪ね、ゴーストライターが育恵だとズバリ言い切る。否定しようとする育恵だったが、右京に畳み掛けられついには降参。9年前、まだアルバイトだった育恵は高木社長に才能を見出され、見た目のいい映子と組んで小説を書くよう勧められたという。が、処女作の途中からすべてが育恵の文章になり、以降、育恵がゴーストをやるようになったらしい。はた目には不幸な育恵だが、本人は自分の言葉が出版されるだけで幸せだという。

 が健夫の遺書も育恵が書いたのでは、と疑問を持ち始めた。だとしたら、「出合う」と書いている育恵が「出逢う」を使うはずがない。が、右京はそのトリックをあっさりと見抜いた。育恵が映子を奪った健夫を殺し、遺書を書いたと推理するが…。