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Episode 30
右京であって右京でない
11月29日(月)


 こんにちは。APの伊東です。今回で Episode 30 を迎えました。もっと数多く書きたかったのですが・・・。
 さて、今日は右京の話です。いや、水谷さんの話です。いや、やっぱり右京の話です。なんのこっちゃ。

 ドラマというのはいい意味でも悪い意味でも、その役者さんのイメージ像が作られるもので、例えば悪役を演じれば実際にその人が悪いように思えてしまいます。いい人を演じれば、実際のその役者さん以上にいい印象を持つこともあるかもしれません。

 で、本題。
 ドラマのロケをしていると近所の方々、あるいは通りがかりの方々が水谷さんや寺脇さんを一目見ようと近づいて来られます。「いつも見てますよ~!」と声をかけられる方もいれば、待ち時間などに色紙を持ってこられサイン攻めにあったり、握手を求められたり、ということになります。
 そのときに握手を求めてみなさんが向かう先は水谷さんより断然寺脇さんのほうが多いのですよ。ホントに。見ていると明らかなのです。

 「ね、ほら、みんな康文(寺脇さん)のところに行っちゃうでしょ。僕のところにはあまり来ないんだよ」

と水谷さん自身も仰います。

 そうなんです。これは明らかにみなさん“右京”というのが頭にあるからなんですね。だって寺脇さんが演じる薫はああいうどこか親しみやすく気さくなキャラクターでしょ。でも薫とは正反対の性格の右京ですよ! あのクールな右京! 一見冷たそうでとっつきにくそうじゃないですか。なんせ警察の上層部も扱いに困っているくらいなのですから。
 撮影現場でスーツを着た水谷さんはもう“水谷豊”ではなく“杉下右京”そのものなのですよ。声なんてかけようものなら「ひとつよろしいですか?」というセリフとともに重箱の隅をつつかれるような問い詰めを受けるかもしれない、なんてみなさん無意識のうちに思っているのかもしれません。
 でも、それはみなさんの思い過ごしなんです。逆にいえばそう思わせてしまえるほど、芝居がうまいとも言えます。本当に“右京”がこの世の中のどこかにいるかのようにさえ思わせてしまうくらいに。

 じゃあ実際の水谷さんはどうかというと、全然右京とは違うのです。僕がいうのもおこがましいですが、メチャメチャ面白いのです。撮影現場が和やかになるのです。あの変わりようは役者魂だなぁって思います。カットがかかった瞬間に普段の“水谷豊”に戻り「よ~い、スタート」という掛け声とともに“杉下右京”になるのですから。
 ドラマの中では右京と薫は見ての通り、薫がよく喋るのに対し右京はズバリと必要なことだけを言うキャラクターになっていますが、ご本人たちも10月の制作記者発表でも言っていましたが、実際のキャラクターは実はその逆といってもいいくらいなのです。普段の水谷さんは本当によく話すのですよ。寺脇さんが聞き役になるくらいに・・・。

 なので、もしみなさんがロケ先で右京を見かけることがあれば、カットがかかったあとならば、そこにいる人物は間違いなく“杉下右京”ではなく、“水谷豊”なのです。決して右京の性格を持ち合わせた水谷さんではないのです。なので、みなさんお気軽に声をかけてください。

 ちょっと説明が長くなってしまいました。


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