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タイ編 撮影日記

タイ人はローカル線が無料
タイの常識、不思議な常識
タイで列車旅を続けていると、日本では考えられない不思議な“常識”と遭遇する。放送では描ききれなかったいくつかを紹介したい。
まずは、多くの列車で採用されている『お坊さん専用席』。僧侶が尊敬を集めるタイならではの光景なのだが、実はこれ、修行僧を守る目的もあるらしい。修業中の僧侶は女性との接触を禁じられており、万が一列車が揺れでもして女性と接触してしまったら、一から修業をからやり直さなければならないそうだ。
そこで、お坊さん専用席を用意して、そういったトラブルを無くしているのだという。
続いて、駅舎内で遭遇した『国歌斉唱』
これは駅だけではなく、朝8時と夕方6時に公共施設、公園、広場、テレビやラジオなどで流されている。国歌が流れてきているときは、直立不動の姿勢をとらなければならず、守らなければ、何と王室不敬罪となり、警察は逮捕することができるそうだ。そのことを知らない観光客が逮捕されることはまずないが、王室が絶大な支持と尊敬を受けるタイの常識として知っておく必要があるだろう。
最後に最も驚いたこと。我々が撮影していた期間中、タイ人のみローカル線の3等車の乗車料金が無料だったのだ。なぜ無料なのかタイ人に尋ねてみたところ、政府の経済政策の一つで、一部の列車で3等車の乗車料金が無料になっているとのこと。もっと早く分かっていればネタのひとつとして盛り込みたかったのに。
まだまだ知らずに撮影していた“常識”はたくさんあったはず。次回は、もっとローカルな話に切り込みたいと、少しばかり悔しい思いをしながら編集を進めている。
ディレクター 二田 靖章
お坊さん専用席もある
直裏不動で国歌斉唱をする市民