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タイ・マレーシア・シンガポール編 撮影日記

ゲマスを目指す新型列車
「多民族国家マレーシアの首都・クアラルンプール」
マレーシアの首都・クアラルンプール。
1800年代に錫鉱山の発見と共に発展してきたこの街は、「KL」の愛称で地元の人々に親しまれている。撮影隊がクアラルンプールに入ったのは、日も暮れた夜8時過ぎ。新型列車で到着したクアラルンプール中央駅は、ショッピングモールなどが併設され、高級ホテルにも直結している、2001年完成の大型複合施設。長距離列車やクアラルンプール近郊を走るコミューターなど、いくつもの路線が乗り入れる5階建ての構造になっており、一日の利用客は16万人を越える。実はこの駅、日本の建築家・黒川紀章によって設計されており、駅構内の案内板はマレー語、英語に加え、日本語でも表示されていた。
夜のクアラルンプールの街に繰り出してみると、ペトロナスツインタワーやKLタワーなど、この街を象徴する建物が輝きを見せる中、街の一角では大音量で路上ライブが行われていた。何でも近年、メジャーデビューへの近道として、このような路上ライブが流行っているらしい。バンドの曲を聴きにくる客も大勢いる。聴衆はマレー系、中国系、インド系と様々で、この国が多民族国家であることを実感させられる。彼らは民族が異なるだけでなく、宗教もイスラム教や仏教、ヒンドゥー教などさまざま。さらに欧米からの観光客が混ざりあい、皆一緒になってバンドの曲で盛り上がる。互いの民族や宗教、文化を尊重し合い、共存してきた歴史を持つマレーシアの姿がそこにあった。
クアラルンプールからは、再び新型列車に乗ってゲマス駅まで南下する。
マレー鉄道が進めている電化は現在この駅まで。ゲマス駅からはディーゼル列車に乗り換えて、シンガポールとの国境の街ジョホールバルまで向かうことになる。マレーシアに入って初めてのディーゼル列車。タイの列車の多くでは当然のようにできたが、久々に列車の窓を開けることもできる。車窓にはゴムやヤシの木が広がり、心地よい緑の風が車内にまで吹き渡っていた。
ディレクター 許斐康公
ゲマスから釣りに行く少年たち
KLの路上ライブ