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タイ・マレーシア・シンガポール編 撮影日記

ジョージタウンに残るセント・ジョージ教会はマレーシア最古の英国国教会
「人々に親しまれるマレーシアの列車」
マレーシアに入国した我々がまず向かったのは、マレーシア屈指のリゾート地ペナン島。最寄りのバタワース駅からフェリーに乗っておよそ15分の距離にある。島の中心街ジョージタウンには、18世紀後半のイギリスの植民地時代に建てられたコロニアル調の建物が数多く残っており、2008年には街全体がユネスコ世界文化遺産に登録された。
ペナン島を一望できるのが、標高833メートルのペナンヒルだ。マレーシア最初の避暑地としても知られる人気の観光スポットで、頂上まではケーブルカーで上ることができる。全長2キロの急な斜面をかなりのスピードで駆け上がるため、なかなかにスリリングな路線だ。乗っていたのは、ほとんどが観光客だったが、中にはこの山に住む地元の人もいて、途中の停留所では家路につく人々が降りていった。
グルメが豊富なことでも有名なペナン島。夕暮れ時にもなれば、ローカルフードが楽しめる島の屋台街は多くの観光客で賑わいを見せる。名物料理ナシカンダルが地元マレーシア人には人気だという。白いご飯に様々な具を乗せ、最後に数種類のカレーをかけて食べるインド系のイスラム料理。コクのある重層的な味わいのカレーは、確かに美味だった。
ペナン島からバタワースに戻り、首都クアラルンプールへと向かう。電化前より速度が上がった新型列車はかつて10時間かかったクアラルンプールまでを4時間20分で結んでいる。日本の新幹線に似ており、快適な空調はもちろん、車体の揺れも少なく、とても静かで清潔な車内だ。国民の6割を占めるイスラム教徒のために、礼拝室も設置されている。体を清めるための水道や、メッカの方向にお祈りをするための方位磁石も完備されている。1日5回の礼拝が義務付けられているイスラム教徒。こうした移動中でも人々がお祈りできるようつくられている新型列車に感心させられた。
ディレクター 許斐康公
マレーシア人にも人気のナシカンダル
車内の礼拝室のマーク