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タイ・マレーシア・シンガポール編 撮影日記

マレーシアの電車内
「国際列車でマレーシアへ入国」
タイ南部最大の街ハジャイ。中国系の人々によって築かれたこの街の通りには漢字で書かれた看板や店名が並ぶ。またマレーシアに近いだけあって、スカーフをまとったイスラムの女性の姿も多く見られる。
朝のハジャイ・ジャンクション駅から列車に乗って、マレーシアに入国する。乗車したのは、前日の午後3時にバンコクを出発した夜行列車。寝台車では朝ご飯を食べている人、談笑している人、歯磨きをしている人など様々だ。列車は1時間程でまずはタイのパダンブサール駅に到着する。ここではわずかな乗客が降りただけであった。そこから10分程で今度はマレーシアのパダンブサール駅に到着。タイと同じ駅名だが、ここはもうマレーシアだ。乗客は全員列車から降りて、駅内にあるイミグレーションに向かう。まずはタイの出国手続きを行い、通路を挟んだだけの向かいのカウンターで今度はマレーシアへの入国手続きを行った。そしてここからはマレー鉄道の列車に乗り換えて、ペナン島への玄関口バタワース駅へと向かう1時間50分の列車旅がはじまる。
乗車すると人々の様子がタイとは違っていることに気づいた。マレーシアは国民の6割がイスラム教徒の国。ほとんどの女性がスカーフをまとっていることは当然のことながら、乗客の多くが黙ったままじっと我々撮影隊を見てくるのだ。なんでもマレーシア人は好奇心おう盛な国民性らしく、こちらの撮影が気になっていたらしいのだが、タイでは感じたことの無い視線、乗客の雰囲気に少々気圧された。
鉄道自体もタイとは様変わりしていた。線路は電化され、駅は新しく建て替えられた近代的な駅舎になっていた。マレー鉄道では、現在はパダンブサールからマレー半島南部のゲマス駅まで電化が完了しているが、2020年までに全ての路線の電化を目指しているらしい。タイから少し来ただけなのに、国境を越えると国民性や鉄道など、こうも雰囲気が変わるのかと驚かされた。
ディレクター 許斐康公
ハジャイの街並み
パダンブサール駅でマレーシアに入国