イタリア・フランス編 撮影日記
- 南チロルの谷を行く高原列車
- 南チロルの小さな村で
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イタリアの旅が始まって6日目、撮影隊はオーストリア国境に近いメラーノという町へ向かう列車に乗っていた。まったく馴染みのない地域だったので出発前に調べていたらちょっと面白いことが分かった。まず、メラーノがあるトレンティーノ・アルト・アディジェ州の北半分は南チロル地方と呼ばれていること。えっ?チロルってイタリアにもあるの?という素朴な驚きとともに、特に興味を引かれたのが、メラーノ近郊にはチロルと名のついた村があり、良く知られたチロルの名前はここが発祥だという話し。しかも、その村にはチロル城というお城もあるらしい。
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メラーノ駅のホームに降り立った僕らは、印象的な風景に迎えられた。街を取り囲む山の急斜面のあちこちに、いくつもの小さな集落が立っている。なぜこんな所に生活の場をつくった?と思わずつぶやいてしまうほどの斜面だ。これが南チロルの風景か。
さて、チロル城内部の撮影を終えた撮影隊。お城を俯瞰できるポイントを探してロケ車で山中を彷徨ううち、そんな急斜面の集落のひとつに辿り着いた。実際に立ってみて分かったその斜面の急なこと!転げ落ちないように気をつけながらなんとか撮影終了。
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お昼時だったのでその集落にあったレストランに入ってみたら、谷を見下ろす絶景のテラス席はお客さんでいっぱいだった。この集落、立地だけで考えたらとっくに過疎が進んで限界集落になっていると思う。でもそれは日本の感覚かもしれない。僕らが入ったレストランを切り盛りしていたのは30代の若い夫婦で、1歳半の赤ちゃんがヨチヨチお店を歩き回って愛嬌を振りまいていた。
実際にこういう土地で暮らしていくには大変なこともあるだろうけど、ともかくこの集落には「これからもここで生きて行く」という自然で明るい気分が満ちている。イタリアの津々浦々に、こういう味わい深い小さな村がいつまでも続いている秘密っていったいなんなのでしょう?そんなことを考えさせられた南チロルの旅でした。
- ディレクター 伊藤 正憲
- ロープウェイで出会った女の子
- 南チロルの風景