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インド編 撮影日記

険しい山道を行くカルカ・シムラ鉄道
「世界遺産のカルカ・シムラ鉄道に乗車」
ニューデリーから大都市を結ぶシャターブディー急行で旅を進め300キロ北の山間の町カルカまでやってきた。カルカ駅は世界遺産のカルカ・シムラ鉄道の出発地。標高2000mのインド有数の避暑地シムラまで5時間かけて進む。線路幅は762ミリ。「トイ・トレイン」と呼ばれる小さな列車はカーブの多い山道に適しており高低差1400mを登る。
乗車したのはお昼時、お弁当を持ってきている人たちをよく見かけた。やはりメニューはカレー。ナンよりも薄いチャパティというパンで小刻みに揺れる中、器用にカレーを食べていた。私たちのロケの食事もおよそ一ヶ月間、毎日カレーだった。「飽きる」と思い味噌汁や梅干しなどを準備していったが本場のカレーのうまさに舌を巻いた。土地が変わるたびにカリフラワー、豆、ほうれんそう、菜の花など旬な食材を使った様々な味を楽しむことが出来た。
列車の走りのポイントはHカメラマンが選定。モンゴル、スイス、ロシアなど数々の列車の走りを撮影してきたベテランだ。市民駅伝にも出場する体力派で、時間が読めないインドの列車を山道を駆けずり回り、カメラを回してくれた。
カルカ・シムラ鉄道には96キロの線路上に、864の石橋と102のトンネルがある。今回、出発前から撮影したいと考えていた大きな橋があった。ここに行きたいとドライバーに告げると「車で行けるのはここまでだ。そして歩くと3時間かかる」と言われた。地図で見ると、確かに道はない。距離的には1時間ほどで行けるように見えたが、ここは現地に35年住むドライバーが言うのだから間違いない。グーグルマップを見て予測は立てることできても、交通状況や山の険しさという実感の距離は分からない。小雨も降る中、危険もある山道。潔く別の橋に撮影ポイントを変更した。撮影を無事終え、皆が空腹になったときドライバーが言った。「もう少しするとサモサ(インドの軽食)を売るバザーがある」現地の情報に救われた山道だった。
ディレクター 山本和宏
道なき斜面で撮影するカメラマン
坂の街シムラ