世界の車窓から

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インド編 撮影日記

信号機のない道路に広がる人々
大都市ニューデリーの交通事情
幼少期より、「『世界の車窓から』に携われたら」と思っていた。そんな夢は「1か月の北インドを巡る旅」として現実となった。28歳の私より半年長生きの番組はインドの旅で放送10000回を超えることになる。
旅の始まりは人口1600万の首都ニューデリー。インドの人口は13億に迫り、経済成長するインドの象徴のような街だ。インディラ・ガンディー国際空港を出ると地下鉄の高架が大きな弧を描いていた。ニューデリーの地下鉄は、2002年に日本の技術協力により開通。路線も拡大中で首都の交通を支える乗り物となっている。
撮影初日は、その発展する様子を撮影しようと町に繰り出したのだがニューデリーの洗礼を浴びることになる。街は過ごしやすい気候で晴れが続き11月の日中は20度ほど。人々も暖かく「ナマステ」とあいさつすれば、笑顔で答えてくれる。しかし、車に乗るとその温厚な性格も一遍するようで、ビルが立ち並ぶ幹線道路には車がびっしり。普段は15分で走るという道が1時間以上かかるほどだ。さらに信号機の少ない道はまさに「カオス」。笑顔が素敵なインド人は車に乗ると性格が打って変わり我先にとクラクションを鳴らしまくり、道を譲らない。お互い譲らず往生する車をあっちこっちで見かけた。
一方の鉄道はというと、日本の8倍ほどの面積をもつインドでは長距離を走る高速列車が人気のようだ。乗車したシャターブディー急行は座席にコンセントが完備されビジネスマンたちはPCの充電の心配をせず広々したシートで仕事に勤しんでいた。
列車でニューデリーの街を抜けるとハリヤーナー州の広大な畑が車窓から見えた。沿線の風景を撮影しようとサトウキビ畑が広がる線路脇を歩いているとレールの幅が広いことに気が付いた。インドの一般的な鉄道のレールは新幹線よりも広い1676mmの広軌。インドのスケールの大きさを感じたと同時に緑豊かな土地に先が見えないほどまっすぐ伸びる線路は美しかった。
ディレクター 山本和宏
ニューデリー駅のホームには果物も売っていた
シャターブディー急行を撮影