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ドイツ編 撮影日記

ICEの車内にある軽食スペース
伝統と最先端を使い分けるドイツ人
ドイツの旅の前半はメルヘン街道に沿って北ドイツへ。メルヘン街道は19世紀に出版されたグリム童話の舞台になったところで、スタート地点のハーナウからブレーメンまでおよそ600キロを指していたが、どうやら最近になってブレーメンの先まで延長されたらしい。ハーメルン、ブレーメンなどグリム童話の舞台になった街は、いずれも中世を思わせる古い家並みが美しく、狭い路地が街の古さを一段と醸し出している。路地がある町は大好きだ。日本の町の路地もいいが、ドイツの路地も気持ちよく彷徨える。
ドイツには、石やレンガの他に木を使った「木組みの家」と呼ばれる伝統的な建物がある。メルヘン街道に位置する街の旧市街を彩るのは木組みの家で、柱や梁に木を使い、それを見えるようにデザインしている。木を多用するところなど、日本との共通点を感じた。そういえば、北ドイツには茅葺屋根の家がある。日本では茅葺屋根の家は激減しているが、ドイツでは茅葺屋根の家に住むことがステータスで、茅葺屋根の家は高級住宅の部類に入るらしい。もちろん室内は近代的だろう。ドイツ人は古さと新しさを使い分けるのがとても上手だ
カッセルからヒルデスハイムまでICEに乗車した。ICEはドイツが誇る高速鉄道で、現在の営業速度の最高は330キロ。日本人としては、どうしても新幹線と比較してしまう。座席の質感、間接照明、車内空間etc。なんと食堂車が連結されている。かつて新幹線にも食堂車があった。ゆったりした気分を味わいながら旅する者には、やっぱり食堂車はあったほうがいいと思う。車内でフランスのストラスブールから来た高校生のグループと出会う。日本の新幹線は知っているよね?と質問。そうしたら誰ひとり知らなかった。もっと世界のことを勉強しろ、などと心の中で一人ゴチているとヒルデスハイムに到着した。ヒルデスハイムの中心部にある広場を取り囲むのは、それは見事な木組みの建物だった。
ディレクター 浦野 俊実
釘の部分も木で出来ている
ヒルデスハイムの広場に建つ木組みの家