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デンマーク編 撮影日記

自転車も行き交うコペンハーゲン中央駅のホーム
自転車の国デンマーク
首都コペンハーゲンの大きな道はだいたい、クルマ・自転車・歩行者の3つのレーンに分かれている。なので自転車のスピードが断然早い。朝と夕方の通勤時間は、全速力の自転車が連なって走る。ヘルメットをしている人も多く、信号待ちはレースさながらの待ち構えっぷりで、平坦な土地が続くデンマークの暮らしに欠かせないモノなんだなと改めて思う。
コペンハーゲンの中央駅には巨大な自転車置き場があり、近郊列車・エストーには自転車も持ち込める車両が1、2両ついている。折りたたみタイプの座席の下に自転車を固定する装置のあるフラットな内装。赤い車体に自転車のイラストが大きく描かれているので、乗り込む時も一目瞭然。自転車だけでなく、車椅子やベビーカーにも優しいつくりになっている。
エストーに乗り、シェラン島北部を巡る旅に出発。列車を乗り継ぎ、到着したヘルシンエーアの駅で1台の自転車に遭遇した。男性が乗る自転車、前方の大きな荷台には小さな子どもが4人。ゆっくり駅のホームを走り、犬を連れた人を見かけると「ほら、ワンちゃんだよ!」と子どもたちに説明している。声をかけると、コーディネーターが「保育パパだそうです。」と教えてくれた。自宅で5人までの子供を預かる公的な保育サービスで、研修を受け、一定の条件を満たした人ならできる「家庭内保育」という制度らしい。「子どもたちは全員2歳で、今日はいろいろな乗り物と城を見るツアーをしているところ。」と話してくれた。
そう、ヘルシンエーア駅の目の前は海で、スウェーデン行きのフェリー乗り場と繋がっている。列車は国鉄と私鉄が乗り入れているので、両方の列車が見られる。さらに海沿いには世界遺産のクロンボー城もある。まさに、私たちがこれから撮影しようとしているものばかり!偶然の一致を嬉しく感じつつ、何より感心したのは、おとなしく自転車に乗っている4人の2歳児たち。こうして自転車に親しんだ子が、将来全速力で街を駆け抜けるんだろうなぁ。
ディレクター 渡部博美
車両に大きく描かれた自転車マーク
保育パパと子供たち