世界の車窓から

トップページ > 撮影日記

オーストラリア編 撮影日記

ホークスベリー川を渡る列車
オーストラリアの時の流れ
オーストラリアの鉄道と言えば、誰しもが大陸横断鉄道を想起するだろう。大陸を東西に横断するインディアンパシフィック号と、南北に縦断するザ・ガン号に代表されるように、荒々しい大自然の中を疾走する列車の姿は、力強くてけなげだ。これまで私は、オーストラリアを何回か取材したことがある。そのいずれもが、辺境の大自然に生きる人々をテーマにしたものだった。オーストラリアと言えば、やっぱり大自然だろう。これは外せない。もちろん今回も車窓には広大な大地が展開する。コアラもカンガルーも、他の愛くるしい動物も登場する予定だ。ところが、今回のオーストラリアの車窓では、それに加えて、もうひとつ別の要素を描いてゆくつもり。それは、美空ひばりの名曲ではないが、「時の流れ」つまりオーストラリアの歴史、そしてこれからである。
オーストラリアに先住民のアボリジニが住みついてからおよそ4~5万年。歴史の起点をどこに置くかで異なるが、17世紀にヨーロッパ系の白人が登場してからに置くと、オーストラリアの歴史は極めて短い。本格的な移住がはじまってからは僅か245年しかない。でも、この短さが、歴史を大切にし、新たな時の積み重ねをつくり出そうとする原動力になっているのではないか。行く先々で、そんな気がした。
今回のルートは、シドニーを起点に、メルボルン、ブリスベン、アデレードとオーストラリアの4大都市を網羅する。まずはシドニーからブリスベンへ。さすがオーストラリア、シドニーから僅か1時間ほどの所に、麗しい水辺の絶景が広がっている。ここでも鉄道にまつわる歴史秘話が眠っていた。知られざる歴史と大自然を体感するオーストラリアの車窓、はじまります。
ディレクター 浦野 俊実
レトロな蒸気機関車パッフィンビリー
街中で出会ったコアラ