武藤氏は言いました。 「屋上にはなかなか足をむけないですよね!」 「あったとしても最初の一歩になる様な・・・ 屋上に行ってみようと思うような、 新しい使い方のアイディアが提案できればと・・・」
まずは、漠然としたイメージを スケッチブックに書きおこす作業から始める。 いったいどんなイメージを武藤氏は描き出すのか? 今回、武藤氏はこれまでにない屋上を作るにあたって、 3つのテーマを挙げました。
(1)色(*照明) (2)音 (3)におい
彼はこの3つの命題をどう料理するのでしょうか??
思えば、日本における屋上の歴史は 常にデパートと共にありました。 大正3年、日本橋三越の屋上に初めて 本格的な庭園がオープン。 さらに、その11年後、動物園がオープン。 「定番」の屋上遊園地が誕生したのは 昭和に入ってからのこと。 その後、屋上を結ぶゴンドラが開通。 果ては、スキー場まで作られたという記録も。 そんな、古きよき屋上の名残を今に残す、 貴重な場所があります。 蒲田東急プラザの屋上で、 36年間、変わることなく営業し続ける 屋上遊園地「プラザランド」。 そこには童心に返るタイムトンネルの入り口。 今も昔と変わらない、 子供たちの笑顔がそこにはあります。
今回、この屋上Rプロジェクトで、 図面を引くのは 武藤氏のよき相談役でもある建築家、馬場正尊。 そして、施工は、名倉滋雄。 これで役者が揃いました。 連日連夜に及ぶミーティング。 ここで、今回のプロジェクトのアウトラインが 少しずつ明らかになっていきます。 そのコンセプトは、「都会の庭」。 そして、今回、武藤氏が挙げていたテーマの一つに、 照明が、なかなかイメージと合うものが見つからない。
そんな時、武藤氏のもとへ風船を手にした男性が・・・。 風船アーティスト平野次朗。
漆黒の闇夜を彩る幻想的な灯りは、 白い風船の根元に、 マグライトの電球を仕込んだもの。 これが風にゆれ計算以上の効果をもたらすのです。
さらに奥へ進むと、 目に飛び込んでくるのはカラフルな器。 その神秘的な光がゲストを誘います。 体に、深く染み渡ってゆく、 この不思議な音色は、 クリスタル同士が共鳴して生まれるもの。 自ら課した『音』という命題に対する 武藤氏の答えは心を癒すクリスタルサウンド。
さらに、空に浮かぶ巨大なスクリーン。 もともと撤去される予定だった古い看板を 武藤氏が敢えて残し、スクリーンにしたもの。
これらすべてが、武藤氏によって、 生まれ変わった「新たなる屋上」R-プロジェクト。 武藤氏が提唱する「R」。 それは時の移ろいとともに風化しつつある遺物に、 息吹を与え、その価値を再認識することだったのです。