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【エルミタージュ・ドゥ・タムラ】
軽井沢駅からクルマで、およそ7、8分。
塩沢湖へ向かう通りの途中、天を突くカラマツ林の中に、ひっそりとその姿を現すフレンチレストラン。
「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」(1)
食通たちが、わざわざ新幹線や高速道路を使ってまで食べたいと願う、この店の料理には、実は料理雑誌などでもなかなか語られることのない、知られざるドラマがありました。

そこで、今宵このトリセツがエルミタージュ・ドゥ・タムラでいかにふるまい、いかに料理を堪能すべきかそのノウハウを明らかにします。


【第1章】軽井沢の隠れ家レストラン

軽井沢でもっとも予約のとりにくいレストランとして知られる、エルミタージュ・ドゥ・タムラ。
その料理をより深く味わいたいと願うなら、これからトリセツがご紹介するポイントに目を向けてみるとよいでしょう。まずは小手調べ。
店へと到着した貴方が何よりも先に注目すべきは・・・

そう、レストランの顔、とも言うべき看板。(2)
そこに記された、エルミタージュ・ドゥ・タムラという店の名に込められた、シェフの思いを感じ取るのです。

エルミタージュとは、フランス語で隠れ家という意味。そのルーツは、この店の主が修行のため、初めて訪れた南仏のレストランにありました。ムッソニエシェフによる、エルミタージュ・ドゥ・ムッソニエ。そこには、連日緑に囲まれたテラスで料理に舌鼓を打ち、ワインを傾ける客たちの楽しげな姿が・・・。そして、この店もそんな隠れ家のようなレストランにしたいとの思いから、エルミタージュ・ドゥ・タムラと名付けられたのです。

こちらはマダムの田村久美子さん。(3)
それでは彼女に続き、いよいよ店の中へ・・・
着席する前に、まずは店内をじっくりと眺め、エルミタージュ・ドゥ・タムラへ訪れることができたのだという喜びを噛み締めましょう。
この建物はもともと20年以上も前に建築された作家、水上勉氏の別荘をレストランに改装したもの。
古きよき佇まいに、人のぬくもりを感じさせる温かなインテリアが客を緊張から解き放ってくれます。(4)
そして、いやがうえにも目に飛び込んでくるのが店内のいたるところに飾られた絵画。これは・・・
ただディスプレイされているわけではなく、実際に買うこともできますのでお気に入りの1枚が見つかったらマダムに相談してみるとよいでしょう。
そして、このエルミタージュ・ドゥ・タムラで着席すべき、ベストポジションは・・・
もちろん、テラス。(5)風を感じるオープンエアーで、まずは優雅にアペリティフをお楽しみ下さい。

「友人の別荘に招待されたような気分で、過ごすべし」


【第2章】シェフ、田村良雄

アペリティフのグラスを空けたところで、続いては彼女にシェフの半生について語り聞かせてあげましょう。
そう、彼がどんな人生を歩み、なぜこの軽井沢に店を開いたのか、その理由を知れば、これから出される料理をより深く味わえるはずだから・・・

1953年、群馬県に生まれた田村シェフは、もともと東京電力で火力発電所勤めをしていたものの、歯車の1つとなる人生を拒否し、24歳で料理の道へ。
その2年後、本物を感じたいと単身フランスへ渡り、エルミタージュ・ドゥ・メッソニエなどの名店で料理人としての感性と腕を磨きました。

帰国後はフェヤーモントホテルの総料理長を経て、1990年、念願となる自分の城、ラ・フェ・ドールを西麻布にオープン。しかし、およそ10年の時を経て体力の衰えを感じ始めていた頃、フラリと訪れた軽井沢の風土に魅せられると、即座にラ・フェ・ドールをクローズ。
そして2000年4月、ついにこのエルミタージュ・ドゥ・タムラをオープンさせたのでした。

「シェフの半生こそが、最高のソースとなる」



【第3章】ワインへの思い

さあ、いよいよ料理。一体何をどう注文すべきか。
フランス料理店でもっともドキドキする瞬間が訪れました。しかし、このエルミタージュ・ドゥ・タムラでは何も心配することはありません。

だって、この店にはもともとシェフのお任せコースしかないのですから。あるのはワインリストのみ。
早速、その内容をご覧頂きましょう。

少しでもワインをかじったことがある人なら、きっと驚きを隠せないはず。なぜなら、東京のグランメゾンで1本、5〜6万円もするワインが、ここではその半額程度で出されているのです。

田村シェフは、ワインの値段について、こう語っています。
ただ栓を抜くだけの作業に儲けは乗せられない、と。


そんな田村シェフが手作りで作ったワインカーブには、彼が愛してやまないボルドーのビンテージをはじめ、常時4000本ものワインがストックされています。(6)

「他のフレンチレストランは、彼を見習うべし」