放送したお宅
2012年3月2日(金)放送
東京都世田谷区・波多野邸
− 角地にたつ隅切りの家 −

2010年11月

敷地面積 62平米 (19坪)
建築面積 47平米 (14坪)
延床面積 142平米 (43坪)
木造3階建て
建築費:3050万円 坪単価:71万円



交通量の多い幹線道路に面した角地。住宅には不向きにも思える立地ですが、将来店舗を開く事を想定して選ばれました。角地のため敷地形も建物の平面も隅切りされた5角形です。

1階は、将来店舗となる予定の多目的室。どんな店舗にも転用できるよう専用の出入り口とトイレを設け、給排水も配管済み。隣接する車庫との間の壁も取り払えるよう考慮されています。

玄関から半階上がった踊り場は、店舗開設時に住居用玄関を移せるよう広めの造り。階段室と居間との間は大きな透明ガラスとして空間を連続させる事で広がりを感じさせます。

2階にある16畳大のLDK。建物の形を反映した5角形の平面です。“隅切り”部に大きな開口を設けているので、通りの方向に視線が抜けます。

楕円形の食卓。元々持っていたガラス天板に、建物と同じ建築家がオリジナルでデザインした脚を組み合わせました。角の無いデザインは限られた空間でも動き易く、コンパクトに感じられます。

全長4mを超えるカウンターを持つ台所。扉の無い“見せる”収納と居間側から死角となる“隠す”収納を使い分けスッキリした印象を生み出しています。

2階北側に位置する水回り。北面の斜線制限をデザインに取り入れ、デッドスペースを減らします。波打った表面のタイルは間接照明との組み合わせで美しい陰影を作ります。

3階は、2つの子供室と主寝室。2階と同じく北面の斜線制限にかかる部分を収納とする事でデッドスペースを最小にしています。

建築家のプロフィール
小林真人
1980年 (株)黒川雅之建築設計事務所にてホテル、オフィスビル、ゴルフクラブ、商業施設、
集合住宅、個人邸等の設計に携わる
1985年 同社、取締役 建築部部長に就任
1995年 小林真人建築アトリエ 設立
1997年 (株)黒川雅之建築設計事務所を退任しコラボレーターとなる
1997年 (有)小林真人建築アトリエ 設立
2006年 (株)小林真人建築アトリエに商号変更

株式会社 小林真人建築アトリエ
所在地 東京都目黒区緑が丘2-18-11
電話 03-5701-8790
FAX 03-5701-8790
E-mail atelier-mahito@mub.biglobe.ne.jp
URL http://www2u.biglobe.ne.jp/~mahito/

建築家の一言
20坪弱の決して広いとは言えない敷地を最大限利用したいという要望から、隣地との距離や高度斜線、日影規制に従って平面的にも立体的にも最大ボリュームで計画しました。
幹線道路に面した角地を生かし、将来の店舗スペースを1階に設けその店舗のファサードとして、住宅であるにも関わらずファサードから生活感を消すべく計画しています。
1階には施主の趣味である自転車やサックスなどができるマルチルームを設け、将来カフェに置き換えが可能となるような設備・躯体の設計としています。
2階キッチンは大きく設けながらも生活感を消すデザインとし,かつ死角となるコーナーに機能的なものを収める事でスッキリとモダンなリビングダイニングを獲得しています。
渡辺篤史の感想
とてもお洒落な印象の建物、ご家族の趣味を活かす場としての住宅です。2人の息子さんたちは、ここで両親から感性を受け継ぎ、育って行く事でしょう。現在はもちろん、将来の生活の変化も見据えた設えが、あちこちに見受けられます。現在を存分に楽しみつつ、夢を語れる場所です。