放送したお宅
2010年11月5日(金)放送
神奈川県鎌倉市・佐々木邸
− 緑に浮かぶリゾートハウス −

2008年6月

敷地面積 249平米 (75坪)
建築面積 83平米 (25坪)
延床面積 114平米 (35坪)
木造2階建て
建築費:非公開 坪単価:非公開



山間の緑豊かな敷地。前庭の植栽も葉を広げ、都心への通勤圏内とは思えない環境です。建物は高さ5m以上の門形の庇がテラスを守っているかのよう。

前面のテラスは“外の居間”。南面の大きな引き込み式ガラス戸を全開して“中の居間”と繋がります。玄関は別にありますが、ここから出入りする事が多いそうです。

テラスの隣に突き出す格好の台所。ここで過ごす時間の多い奥様のため、緑を眺める絶好の位置に設けました。コの字形のレイアウトで動線はコンパクトに。

南面に大開口を持つ居間。緑の風景だけを切り取ります。ガラス戸に加え、網戸の代わりに簾戸を入れています。天井の一部は、テラスの庇と合わせた高さ5m以上の吹き抜けです。

台所と居間の間に位置する食堂。使い込まれた食卓や氷式木製冷蔵庫(収納として使用)などが似合っています。“本当の”玄関は西側にあります。

2階はプライベートスペース。階段上部の大きな天窓で北側の空間も充分な明るさを確保。裏山に面した水回りは大きな窓から緑を楽しめます。

吹き抜けに面した子供室。現在はまだ個室として使っていませんが、引き戸で閉じる事ができます。ロフトも設けられています。台所の上はバルコニーです。

2階廊下の一角はフリースペース。読書などに活用しています。北側の寝室も大きな窓から山の緑を存分に楽しめます。立体的な天井のデザインも楽しいですね。

建築家のプロフィール
佐藤哲也+布施木綿子
佐藤哲也
1973年 東京都生まれ
1996年 東京デザイン専門学校建築デザイン科卒業。
椎名英三建築設計事務所を経て、その後ヨーロッパ・アジア各地を旅し
2003年 布施木綿子と建築設計事務所設立。

布施木綿子
1971年 東京都生まれ
1994年 日本大学理工学部建築学科卒業。
椎名英三建築設計事務所を経て、ヨーロッパ・アジア各地を旅し
2003年 佐藤哲也と建築設計事務所設立。

一級建築士事務所 佐藤・布施建築事務所
所在地 東京都武蔵野市御殿山1-7-12井の頭マンション601
電話 0422-48-2470
FAX 0422-48-2471
E-mail satofuse-arch@nifty.com
URL http://homepage2.nifty.com/satofuse-arch

建築家の一言
 鎌倉の急な坂道と階段を上り、更に敷地内の長いアプローチ。その先のあまりに素晴しい山の景色‥‥土地の購入から相談を受けた我々は、そこへ至る困難をよそに、眼前に拡がる風景、樹々や草花、心地よい風に心奪われる夫妻に、好感と共感を覚えていました。
 “小さくとも庭が欲しい”大らかな環境で育った夫妻が求めるものは、土地も家も、まるで鳥や虫が「巣」を求めるように、ただ自分たちの自然な感覚に委ね、従うものでした。
 そうして出来上がったのがこの家です。見渡す山々の眺めに続く小さな庭。その景色を内に迎え入れるかのように建つ家。家の先端には小屋のように張り出した台所。家中で最も見晴らしのよい場所です。その横のテラスには大屋根が架かり、建具を開け放てば、吹抜けのある内部とひと続きです。食事をしたり、本を読んだり、風景を眺めたり。晴れの日も雨の日もこの空間が、内と外をゆるやかに繋いでくれるのです。
 家という小さな場所で“自分たちも自然の一部である”という感覚を持って生きられるとしたら、それは何と大きく豊かなものになるだろうと、私たちは今あらためて感じます。
渡辺篤史の感想
日常の中に非日常がある、リゾートにいるような感覚が味わえる建物です。暮らしのための機能をきちんと形にした上で、様々な方向に抜けを作り、自然を存分に感じる事ができます。根底には、原生林をはじめとする周囲の自然に対する畏敬の念が込められているように思います。だからこそ、こんなに気持ちの良い建物ができたに違いありません。