放送したお宅
2010年7月23日(金)放送
東京都武蔵野市・加藤邸
− 庭を見上げる家 −

2009年1月

敷地面積 140平米 (42坪)
建築面積 54平米 (16坪)
延床面積 142平米 (43坪)
木造地上2階 鉄筋コンクリート造地下1階
建築費:4410万円 坪単価:103万円



閑静な住宅地に似合う落ち着いた色合いの方形屋根の建物。道路から後退させてゲスト用を含め2台分の駐車場を確保。植栽も楽しめます。

広い土間を持つ玄関。右はリビングへ、左は台所・勝手口へと繋がります。大容量の収納は手前が靴収納、奥は食品庫になっています。

1階の食堂・台所と半地下の居間で構成されたLDK。豊かな庭の植栽を様々な角度から楽しめます。居間への階段を2か所に設け、回遊性を生んでいます。

半地下の居間は、1階の食堂と地階の書斎・和室を結び、広大なパブリックスペースを生み出します。庭側の窓を見上げると、空と植栽だけが切り取られます。

食堂からデッキへと繋がる掃き出し窓は引き込み式。庭との一体感を高めます。ガラス戸に加え風通しの良い簾戸も設置されています。

食堂と台所の間は、食器収納を兼ねた大きなカウンター。庭を眺めつつ水仕事ができます。ガスレンジ、IHクッキングヒーター、グリルを料理に応じて使い分けます。

地階は書斎と和室。居間との間の引き戸を開くと、地下とは思えない解放的な空間になります。一体感を損なわないよう、和室の鴨居は吊り構造です。

2階は3つの個室と洗面・浴室。3角形の天窓から入った自然光が、透明ガラスの欄間を通じて各部屋に届きます。

建築家のプロフィール
村田 淳
1971年 東京都生まれ
1995年 東京工業大学建築学科卒業
1997年 東京工業大学大学院建築学専攻修士課程修了
1997年 建築研究所アーキヴィジョン
2006年 村田靖夫建築研究室
2009年 村田淳建築研究室に改称

村田淳建築研究室
所在地 東京都渋谷区神宮前2-2-39外苑ハウス127号
電話 03-3408-7892
FAX 03-3404-5077
E-mail info@murata-associates.co.jp
URL http://murata-associates.co.jp

建築家の一言
住まい手の要望は、家族が集まる空間をリビングとは別に地下に設けること、そして来客時に人の居場所が多く生まれること、そして緑を楽しめることでした。ただ、地下は暗く閉鎖的では場所の性格としてふさわしくなく、ふだんの生活の延長として気軽に行けるようにしたい。そこで、リビングを半階下げたスキップの構成とし、内外の立体的なつながりと家族同士の結びつきを求めて空間構成を定めています。
1階は、建具を開け放して庭とひとつながりに使えます。半地下のリビングは1階と地下をつなぐ大きな空間で、地下に光と風をもたらします。大きなはめ殺し窓を通して庭とも結ばれ、四季の移り変わりや収穫の楽しさを、日々の生活にもたらしてくれるでしょう。
2階は個室と水廻りで、トップライトを持つ明るいホールから各部屋に至ります。それぞれの部屋からは、欄間のガラスを通してトップライト越しに空が見えます。
このように、単純な印象の外観からは想像しにくい変化に富んだ家となっています。
渡辺篤史の感想
方形屋根の下に様々な空間が凝縮された建物です。1階の食堂・台所、半地下の居間、地階の書斎・和室が一体となって、立体的な居住空間を構成しています。どこに身を置いても、丹精込めた庭の植栽を楽しむ事ができます。庭を見上げるという体験も楽しいですね。屋内と屋外、部屋と部屋、空間と空間の繋がりが実に見事な家でした。