放送したお宅
2009年2月15日(日)放送
東京都西東京市・保谷邸
家の中に「外」を取り込むシリーズ(2) 中庭
−玄関が中庭と一体 陽の光が包み込む家−

2007年9月完成

敷地面積 107平米 (32坪)
建築面積 52平米 (16坪)
延床面積 97平米 (29坪)
木造2F建て
建築費:2100万円 坪単価:71万円



木の温もりを残す長方形の箱と、白塗りの箱を2つ並べたような建物。家の前に様々な種類の植栽が施されています。ポストは夫のデザイン。

扉をくぐると、シンボルツリーのヤマボウシが迎える約8畳の中庭。玄関扉はガラスなので、リビングまで視線が抜けます。ガラス戸を全開すれば、さらに一体感が高まります。

建物の南側は天井高5.8mの吹き抜け空間。上下に広がる大開口部からは、陽の光が降り注ぎます。リビングは約11畳ですが、玄関のドアを開け放てば中庭と一体となり、実面積以上の広がりを感じさせます。

吹き抜け空間の西側にはダイニング。リビングの白い壁に反射した柔らかい光が射し込みます。床には暖房効率の良い中庭と同じタイルを使用。

使いやすいシンプルなデザインのシステムキッチン。手入れのしやすいIHを選択しました。階段室を中心にキッチン〜水回り〜リビングへと回遊できるようになっています。

キッチンの奥、北側に水回り。浴室は東側の壁を傾斜させて広がりを演出。

2階への階段を上がった所にある和室と洋室。2つの部屋は引き戸で繋がります。現在は、子供室として使用。北側にある書斎は吹き抜けによって、1階と繋がりを感じさせます。

寝室の隣の寝室には約3畳のロフト付き収納を設けてあります。寝室とデッキからは、富士山を望めます。

建築家のプロフィール
大塚 泰子
1971年4月6日生まれ 千葉県出身。
1996年   日本大学大学院 生産工学部建築工学修士課程修了。
株式会社アーツ&クラフツ建築研究所入社。
敷地わずか9.6坪の母の家である「ちっちゃな家#1」を担当。
その後、ちっちゃな家」がシリーズ化して反響を呼ぶ。
2003年   有限会社ノアノア空間工房設立。
2008年   「ami cafe」釧路市景観賞奨励賞受賞。
 
有限会社ノアノア空間工房
連絡先   東京都渋谷区恵比寿2-25-13 星野ビル2F
TEL   03-5969-8800
FAX   03-5969-8801
E-mail   tokyo@noanoa.cc
URL   http://www.noanoa.cc
 
建築家の一言
奇をてらったデザイン住宅ではなく、家族を包み込む居心地重視の住宅を目指しました。
外観の板張りは、自然素材を少しでも使いたいという思いからです。人にも街にも経年変化を楽しめるゆとりが大切だと思います。
リビングとつながるパティオが、生活の中で大切な役割となり、そしてお子様の成長と共に、ヤマボウシも大きくなって家族を見守る存在になって欲しいです。
決して大きな住宅ではありませんが、明るく風通しの良い居心地の良い住宅になったと思います。
■キーワード
・パティオとリビングの連続性
・大きな玄関扉
・広々とした玄関
・回遊性のあるプランニング
・光の演習(階段のトップライトやバスルームの光の取入れ方)
・家族の一員のような1本の大きな樹
 
渡辺篤史の感想
密集地に家を建てる場合、採光を考えて居間・食事スペースを2階にすることがよくありますが、1階に個室や寝室を置くのは防犯のことを考えると少し心配な面もあります。今回の保谷邸は、1階に居間・食事スペースを配置しました。そうすると明るさの問題が残ります。その解決策が、南側の大開口と吹き抜けなんですね。日が差し込む、明るく暖かい空間が出来上がりました。そして女性建築家ならではの、繊細な気遣いが家のあちこちに見受けられます。それでいてダイナミズムと共存したデザインです。ある意味では、ごく普通の人たちのスタンダードな夢がこの建物にはあると感じました。