放送したお宅
2008年6月1日(日)放送
東京都杉並区・金子邸
− 9mスリット窓で明るさ演出 バイクガレージのある7坪の家 −

2007年4月完成

敷地面積 40平米 (12坪)
建築面積 25平米 ( 7坪)
延床面積 77平米 (23坪)
鉄骨造
建築費:1950万円
坪単価:84万円



外観は白い石を切り出したような多面体。道路側から見える窓は、正面の斜めに入った9mのスリット窓だけです。夜には光のラインが浮かび上がります。

玄関を入ると、そこはバイクガレージ。黒御影石張りの床に愛車“KATANA”が映り込みます。FRP製グレーチングの階段を透して、上部から光が落ちて来ます。

バイクガレージの一画に設けられたロフト。ガレージを一望できるバイク好きにはたまらない空間です。いつでも愛車と一緒にいたい、ご主人のために作られました。

2階はLDK。天井の一部が高さ約5mの吹き抜けになっていて、天窓から充分な光が入ります。壁面には通気用の小窓しか無いにもかかわらず、とても明るい空間です。

北側の壁には作り付けの棚が設けられ、一部がパソコン用のデスクになっています。

リビングを広く取るため、コンパクトに収めたキッチン。リビングとの間仕切りは収納ですが、上下に隙間を作って、リビングとの空間的な繋がりを生んでいます

3階は、キャットウォークのような三角形の寝室と水回り。水回りの壁は高い位置をガラスにして、天窓からの光を取り入れます。

洗面室に設けられたメンテナンス用のハッチを出ると、屋上テラスです。このテラスのおかげで、天窓の掃除が安全に行えます。

建築家のプロフィール
荘司 毅
1966年   山形生まれの仙台育ち
1988年   東北工業大学工学部建築学科卒業
1988〜1999年   設計事務所勤務(早川邦彦建築研究室ほか数社)
1999年   荘司建築設計室 設立
受賞歴
・第9回グッドペインテングカラー「特別賞」
・第9回あたたかな住空間コンペ キッチンの部「優秀賞」
・第10回TEPCO快適住宅コンテスト「佳作」
 
荘司建築設計室
連絡先   東京都港区南麻布2-13-19高野ビル205
TEL   03-5484-0959
FAX   03-5484-0954
E-mail   shoji@t-shoji.net
URL   www.t-shoji.net
 
建築家の一言
建築面積7.4坪の小さな家です。バイク好きのご主人の要望は、いつも眺めていられるようなバイクガレージの確保。ちなみに設計者である私自身がバイク大好き人間です。
多面体の壁で覆い包んだ外観は、小ささを感じさせないように敢えてスケール感が喪失することを意図しましたが、防犯上、窓を作りたくないという要望から産み出されたモノでもあります。また、4層が連続する内部は、包みこまれた居心地の良いスペースを作り出しています。リビング上部にポッカリと開いたトップライトは、住宅密集地であることを忘れてしまうような、自然の気配を満喫する仕掛けとなっています。
 
渡辺篤史の感想
都心の12坪という狭小な敷地。ここに、いかにして豊かな空間を作り出すかがテーマのお宅です。
まず外観は、白い大理石をカットしたかのような多面体。正面のスリット以外に窓が無いのが目を惹きます。しかし室内に入ると、トップライトから充分な明かりが入り、とても明るい空間になっています。さらに、FRP製の階段を透かして1階のバイクガレージまで光を落とします。通常であれば建物の隅に置かれる階段を、敢えて中心に置く事で、下の階まで光をもたらすと同時に、小さな家の中を緩やかに間仕切る効果が生まれています。 ご夫婦2人の為にデザインされた特別な建物です。